赤ちゃん用枕は必要?赤ちゃんの安全な睡眠環境とは

SNSでは、よく赤ちゃんの眠っている写真をみかけるんじゃ。その中には、医学的に推奨されない寝具の使い方や睡眠環境も散見されるんじゃ。今回は、赤ちゃんの安全な睡眠環境について解説するんじゃ。
小児科医のおじい 2026.04.01
誰でも

わしは普段Xで発信をしているんじゃ。
Xに限らず、SNSではよくこどもや動物の可愛らしい画像、動画がバズっているんじゃ。

特に、寝ている赤ちゃんの画像はとても可愛く、癒されるんじゃ。
しかし、SNSでは時にヒヤリとするような写真もみられるんじゃ。ぬいぐるみに囲まれていたり、大きな枕に顔をうずめていたり、バウンサーやビーズクッションで寝かせていたり…。

今回は、赤ちゃんの安全な睡眠環境について解説していくんじゃ。
この記事を読めば、赤ちゃんをどのように寝かせればいいか、どんな睡眠環境は危険なのかがわかるんじゃ。

***

1. 赤ちゃんの安全な睡眠環境について

米国小児科学会(American Academy of Pediatrics; AAP)は、1990年代から赤ちゃんの安全な睡眠環境について積極的に発信をしているんじゃ。

現在、米国小児科学会が推奨する安全な睡眠環境とは以下のような環境じゃ。

赤ちゃんの安全な睡眠環境

赤ちゃんの安全な睡眠環境

💡赤ちゃんの安全な睡眠環境の3大原則

  • 仰向けに寝かせる

  • 硬い平らなマットレスにぴったりしたシーツをつけている

  • 周りに枕、毛布など柔らかい寝具を置かない

さらに安全性を高めるために

  • 添い寝をしない(赤ちゃん用のベッドを用意する)

  • 暖めすぎない

  • 禁煙する

  • 可能であれば母乳を与える

これから、このような推奨事項が発信されている背景や理由について解説していくんじゃ。

2. 安全な睡眠環境はなぜ大切か

安全な睡眠環境について、小児科医が口酸っぱく注意喚起をするのには理由があるんじゃ。
それは、赤ちゃんが寝ている間に亡くなってしまうことを防ぐためじゃ。

赤ちゃんが寝ている間に亡くなってしまう原因として、SIDS(乳幼児突然死症候群)と窒息があるんじゃ。
SIDSは、ながらく「健康な赤ちゃんが突然亡くなってしまう原因不明の病気」として恐れられていたんじゃ。
しかし、現在ではその実態が明らかになってきたんじゃ。

3. SIDSとはなにか

SIDSとは、Sudden Infant Death Syndromeの略じゃ。
「Sudden(突然の)、Infant(乳幼児の)、Death(死)、Syndrome(症候群)、という意味で、日本語では「乳幼児突然死症候群」という訳語があてられているんじゃ。

かつては、それまで元気だったお子さんが原因不明のまま亡くなってしまうという病気として恐れられていたんじゃ。ただ、現在ではSIDSがどのような病気か、どのように予防できるかが解明されつつあるんじゃ。

SIDSの定義(SIDS診断ガイドライン第2版)
それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に 突然の死をもたらした症候群』

乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン 第2版

乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン 第2版

「SIDSは原因不明の疾患である」というのは、現在では誤った認識じゃ。
定義に原因についての言及があるためわかりにくいが、定義で述べているのは「死亡状況や解剖の結果、原因が特定されなかった場合にSIDSと診断する」ということであり、「SIDSが原因不明の疾患である」というわけではないんじゃ。

後述するが、SIDSの本質は「呼吸中枢の未熟性による睡眠中の呼吸停止」じゃ。

4. SIDSの発生状況

SIDSの起こる頻度は、約6000~7000出生に1人じゃ。
1年間の発生数が約50~100人で、令和元年から令和5年の5年間で349人のお子さんがSIDSで亡くなっているんじゃ。
1歳未満のお子さんの死因としては、上位5位までに入り続けているんじゃ。

好発年齢(SIDSが起きやすい年齢)は1歳未満、特に生後2ヶ月から6ヶ月が多いんじゃ。
これは、生後6ヶ月未満は自由に寝返りができず、苦しくなった体勢をかえられないことが原因と推測されているんじゃ。

5. SIDSはなぜ起こるのか

では、SIDSはなぜ起こるのかを解説していくんじゃ。
SIDSを簡潔に説明すると、『睡眠中の覚醒反応の遅延による呼吸停止』じゃ。

赤ちゃんの呼吸中枢は未熟であり、寝ていると呼吸が止まってしまう(無呼吸)ことがあるんじゃ。
通常は無呼吸になっても自力で脳が覚醒し、呼吸を再開するんじゃ。
しかし、SIDSの児では無呼吸になっても脳の覚醒反応が遅延し、呼吸を再開できず最終的に死に至ってしまうんじゃ。

SIDSの背景として、いくつかの遺伝子異常が指摘されているんじゃ。セロトニンという神経伝達物質の経路、心臓のイオンチャネル、自律神経系、免疫系、有機酸代謝異常などの遺伝子異常とSIDSの関連がこれまでに報告されているんじゃ。

参考文献をもとにGenimiで作成

参考文献をもとにGenimiで作成

また、睡眠中の覚醒反応の遅延が引き起こされるのは、①赤ちゃん側の要因、②環境要因、③リスクが高い発達時期(臨界期)、という3つの要因が組み合わさって起こるという『トリプルリスクモデル』が現在の考え方じゃ。

notebookLMで作成

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6. SIDSと窒息の違い 

よく質問されるのが、「SIDSって窒息と何が違うの?」という点じゃ。
たしかに、SIDSと窒息はリスク要因がかぶる点もあり、混合されやすいんじゃ。

SIDSと窒息の違いは、SIDSは「呼吸中枢の未熟性による内因性の呼吸停止」窒息は「外因性の気道の閉塞」という点じゃ。

SIDSでは、なんらかのきっかけ呼吸中枢が働かずに呼吸自体が止まってしまい、最終的に心停止に至るんじゃ。口や鼻がふさがることは呼吸停止のきっかけの一つであり、顔や口が塞がれていなくてもほかに誘因があればSIDSは起こりうるんじゃ。

窒息は、空気の通り道である鼻、口がふさがることで起こるんじゃ。
そのような物理的な要因がなければ窒息は起こらないんじゃ。

しかし、SIDSと窒息の区別が難しいケースがあるのも事実じゃ。また、SIDSと窒息の対策はほぼ共通(仰向け寝にする、周りに物を置かない、など)のため、これらをSUDI(Sudden unexpected infant death;乳幼児の予期しない突然死)として同一視する動きもあるんじゃ。

Geminiで作成

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7. SIDSの3つのリスクとは

1. 赤ちゃん側の要因

SIDSのリスクとなる、つまり睡眠中の覚醒反応の未熟性が起こる赤ちゃん側の背景要因としては以下があげられているんじゃ。

①性別:男児に多い
②在胎週数、出生体重:早産児、低出生体重児に多い
③栄養方法:母乳栄養児よりも、非母乳栄養児に多い

①男児
 男児ではSIDSが起こりやすいとされているんじゃ。
 日本の調査では、SIDSの症例4348例のうち男性が2550例(58.6%)、女性が1798例(41.3%)で男性に多かったんじゃ。

 この男女の発生率の差は、SIDSに関連する先天的な疾患や遺伝子異常が男児に多くみられるためと考えられているんじゃ。

②在胎週数、出生体重
 正期産児と比較して、早産児や低出生体重児ではSIDSが起こりやすいんじゃ。これは、SIDSの病態の本質である呼吸中枢の未熟性が原因と考えられているんじゃ。

③栄養方法
 母乳栄養児は、非母乳栄養児(母乳を全く飲んでいない児)と比べてSIDSのリスクが低いんじゃ。

 2017年のメタ解析では、母乳育児の期間が長いほどSIDSが少なかったという結果が出ているんじゃ。つまり、ミルクを与えることがリスクというよりは、母乳育児がSIDSに対して保護的に働くということじゃ。

参考文献をもとにnotebookLMで作成

参考文献をもとにnotebookLMで作成

また、完全母乳でなく混合栄養であっても、同様のSIDS予防効果が示されたんじゃ。

参考文献をもとにnotebookLMで作成

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ただ、なぜ母乳栄養児でSIDSが少ないのかについて結論は出ていないんじゃ。
母乳の方が腹持ちが悪く、本人が頻繁に覚醒したり、頻繁に児と接触して覚醒が促されるからというのが一つの仮説じゃ。
また、母乳には感染症の予防効果があり、SIDSのリスクとなる感染を防いでいることが間接的にSIDSを減らしている可能性も指摘されているんじゃ。
今のところ、母乳のなんらかの成分自体がSIDSに有効であると明らかになっているわけではないんじゃ。

強調しておきたいのが、母乳栄養児の方がSIDSの発生頻度が少ないというのは統計の結果に過ぎないんじゃ。ミルクが悪い、ミルク育児をしている親御さんが悪い、というわけでは決してないということじゃ。
様々な事情で母乳育児ができない親御さんがいらっしゃることはわしも承知しており、この記事がそのような親御さんを責める意図は全くないことをご理解いただけると幸いじゃ。

6-2. 環境要因

SIDSのリスクとなる環境要因としては、以下があげられているんじゃ。

①睡眠姿勢:うつ伏せ寝の児に多い
②柔らかい寝具:枕、毛布、マットレス
③ベッドに置くもの:クッション、ぬいぐるみなど、鼻や口を覆う可能のあるもの
④添い寝、添い乳
⑤受動喫煙
⑥妊娠中、授乳中のアルコール
⑦暖めすぎ

①睡眠姿勢
 うつ伏せ寝は、SIDSのリスク要因として最も重要じゃ。
 1994年に米国でBack to sleep(仰向けで寝かそう)キャンペーンが始まったんじゃ。これにより仰向け寝が広まり、うつ伏せ寝が約70%から約10%に減ると同時に、SIDSが約40%減少したんじゃ。

 うつ伏せがリスクとなるのは、単に鼻や口がふさがるからというだけではないんじゃ。
 赤ちゃんは、仰向けに比べてうつ伏せの際には脳の覚醒反応が低下し、覚醒のためにより大きな刺激が必要なんじゃ。

 SIDSが脳の覚醒反応の遅延によって起こることから、うつ伏せが物理的にも脳の機能的にもリスクとなることがわかっていただけると思うんじゃ。

しかし、徐々にBTSキャンペーンによるSIDSの減少は下がり止まっており、仰向け寝を徹底するだけではSIDSは完全になくならないという課題も明らかになったんじゃ。そこで、Back to Sleep(仰向けで寝かそう)から、Safe to seep(安全に寝かそう)への転換が図られたたんじゃ。

②柔らかい寝具、平らでない寝具
 赤ちゃんのベッドには、硬い平らなマットレスとぴったりしたシーツが推奨されているんじゃ。柔らかく沈み込むようなマットレスは、顔が埋まってしまうおそれがあるんじゃ。また、枕や毛布などの柔らかい寝具も、同様に顔が埋まってしまうおそれがあるんじゃ。

 柔らかい寝具は、窒息とSIDSの両方のリスクとなるため、安全な睡眠環境の観点からは不適切なんじゃ。

また、平らでない寝具(10°以上の傾きがある寝具)では、頭の重みがあごやのどにかかることで気道が閉塞するリスクが高まるんじゃ。

③ベッドに置くもの
 寝具以外にも、クッション、ぬいぐるみ、おもちゃなど顔や鼻を覆う可能性があるものはリスクとなるんじゃ。

④添い寝、添い乳
 親御さんやきょうだいと同じベッドで寝る添い寝は、SIDSや窒息のリスクとなるんじゃ。

⑤受動喫煙
 妊娠中の母体の喫煙、および出生後の児の受動喫煙はSIDSのリスクとなるんじゃ。
 2019年のメタ解析では、妊娠中の喫煙はSIDSのリスクを2倍以上に高めたんじゃ。1日1本喫煙するごとにリスクが7%上昇し、喫煙量が多いほどリスクとなることが示されたんじゃ。
 それまでに喫煙をしていても、喫煙量を減らすことでSIDSのリスクは減らすことができるんじゃ。禁煙した場合は23%、喫煙量を減らした場合でも12%のリスク低減が確認されたんじゃ。

 タバコに含まれるニコチンは、赤ちゃんの脳の覚醒反応を低下させるということが多くの研究で指摘されているんじゃ。
 喫煙する妊婦さんから出生した赤ちゃんは、①睡眠中の覚醒反応する聴覚や触覚の刺激の閾値が高い(覚醒するのにより強い刺激が必要)、②自発的な覚醒反応の頻度が低い、ということが報告されているんじゃ。

⑥妊娠中、授乳中のアルコール
 母体がアルコールを摂取すると、赤ちゃんの脳の覚醒反応を低下させるんじゃ。
 妊娠中に飲酒を続けた場合、SIDSのリスクが約4倍になるんじゃ。

また、飲酒した状態で赤ちゃんと添い寝することは、覆いかぶさりによる窒息やSIDSのリスクとなるんじゃ。

⑦暖めすぎ
 暖めすぎはSIDSのリスクとされているんじゃ。これは、SIDSの児が発見された時点で高体温や発汗などの所見がみられたことから、暖めすぎがよくないとされているんじゃ。
 しかし、暖めすぎた結果としてSIDSになったのか、SIDSになった結果として苦しくてもがいて高体温になったのか、という前後関係はまだ明らかではないんじゃ。

 高体温が覚醒反応を低下させる可能性はあるが、どこまでの高体温が許容されるのかはまだはっきりしていないんじゃ。

6-3. リスクの高い発達時期

SIDSは1歳未満に多いが、特に2-6ヶ月に多いとされているんじゃ。

この時期は、寝返りが自由にできないこと、呼吸中枢の未熟性が残っていることなどからリスクが高いと考えられているんじゃ。

8. 安全な睡眠環境に対する推奨事項

1. こども家庭庁の推奨

こども家庭庁の推奨する安全な睡眠環境のポイントは以下の5つじゃ。

①寝具は硬めで平坦なものを
②温度の調整は着るものなどで(掛け布団は使用しない)
③寝床には何も置かずにすっきりと
④赤ちゃん専用の寝床
⑤睡眠環境製品は正しく使う

2. 米国小児科学会(AAP)の推奨

米国小児科学会は、安全な睡眠環境について以下を推奨しとるんじゃ。

推奨度A

  • 仰向けで寝る

  • 平らな寝具で寝る

  • なるべく母乳を与える

  • 少なくとも生後6ヶ月までは、親と同じ部屋の違う寝具で寝る

  • 枕、クッション、ぬいぐるみなどフカフカしたおもちゃ、毛皮素材、掛け布団、毛布、シワのできる緩いシーツは使用しない

  • おしゃぶりを使う

  • 妊娠中、出産後のタバコへの曝露を避ける

  • 妊娠中、出産後のアルコール、薬物への曝露を避ける

  • 定期的に妊婦健診を受ける

  • 推奨に沿って予防接種を受ける

  • 家庭用の呼吸心拍モニターは使用しない

  • 起きている間にうつ伏せ遊び(タミータイム)をする

推奨度B

  • 上記の推奨事項に反する市販の道具、機器の使用を避ける

推奨度C

  • おくるみを推奨する根拠はない

3. 赤ちゃん枕に対する推奨は?

こども家庭庁、米国小児科学会のいずれも、枕などを赤ちゃんの寝床に置くことはリスクであるとしているんじゃ。

「SIDSを予防する」などと言われている商品であっても、実際にはかえって窒息やSIDSのリスクとなってしまうんじゃ。

米国小児科学会は、「SIDSを予防する市販品はない」と明言しているんじゃ。

9. 0歳児の睡眠中の窒息事故の実態と消費者庁の推奨

消費者庁が、厚生労働省の人口動態調査から分析した0歳児の睡眠中の窒息事故の分析結果が以下の通りじゃ。

参考文献をもとにGeminiで作成

参考文献をもとにGeminiで作成

ベッドと壁の隙間などに挟まれる、ベッドからの転落など、睡眠環境による事故が少なくないんじゃ。

これらの分析結果をもとに、消費者庁は具体的な注意点を提唱しているんじゃ。

●睡眠中の窒息事故を防ぐには

・なるべくベビーベッドに寝かせる、ベッド柵は常に上げる
・掛け布団は使わないか、赤ちゃんが払いのけられるくらい軽いものにする
・固いマットレスや敷き布団を使う
・周りに顔や口をふさいだり、首に巻きつくようなものを置かない
・寝る場所に顔や頭、体が挟まる隙間をなくす
・添い寝をしたまま寝込んで、保護者の体で赤ちゃんを圧迫しないようにする

10. 赤ちゃんがうつ伏せになっていたら、仰向けに戻した方がいいのか?

健診などでよく聞かれることとして、「うつ伏せになったら戻した方がいいか」という質問があるんじゃ。

わしの意見としては、「自由に寝返りができるお子さんでも、気づいたらできる範囲で戻した方がいい」とお答えしているんじゃ。

1. AAPの推奨➡寝返りができれば仰向けに戻さなくてよい

米国小児科学会(AAP)の寝る際の姿勢についての推奨は以下の通りじゃ。

「1歳までは、ベッドに置くときは必ず仰向けに寝かせる」
「自力で仰向け→うつ伏せ、うつ伏せ→仰向けの寝返りができる赤ちゃんについては、うつ伏せになっても戻さなくていい」

つまり、寝返りが左右どちらもできて、仰向けからうつ伏せになるだけでなくうつ伏せから仰向け(いわゆる寝返り返り)もできる場合は、うつ伏せになっても戻さなくていい、としているんじゃ。

2. 二次性うつ伏せ(secondary prone)のリスク

では、寝返りが自由にできればうつ伏せになっても安全かというと、必ずしもそうとは言い切れないんじゃ。

眠りにつくときは仰向けで、途中でうつ伏せになる「二次性うつ伏せ(secondary prone)」の姿勢も、SIDSのリスクとなるおそれはあるんじゃ。

国内でのSUDI 53例をまとめた報告では、異常発見時にうつ伏せだった23例のうち、15例が最後に寝かせた時は仰向けまたは横向きだったのに、発見時にはうつ伏せになっていたという「二次性うつ伏せ」だったんじゃ。

市川光太郎 臨牀と研究 93 (11) :1467-1472, 2016. よりnotebookLMで作成

市川光太郎 臨牀と研究 93 (11) :1467-1472, 2016. よりnotebookLMで作成

この報告からわかることは以下の2点じゃ。

・仰向けにしていればSIDS/SUDIにならないわけではない
・初めからうつ伏せで寝ていてうつ伏せで見つかった児より、寝ている途中でうつ伏せになった児の方が多い➡「二次性うつ伏せ(secondary prone)」もリスクとなる可能性がある

AAPは、「寝返りが自由にできればうつ伏せになっても戻さなくてよい」としておるが、それは「寝返りが自由にできればSIDSは全く起こらない」というわけではないんじゃ。

3. どんなうつ伏せがリスクとなるのか

ここまでの話をまとめると、「結局うつ伏せは戻した方がいいの?」と迷ってしまうかと思うんじゃ。うつ伏せがSIDSのリスクとなるという前提のもと、『特にリスクの高いうつ伏せ』をピックアップしていくんじゃ。

●うつ伏せのリスクの高い赤ちゃん

・生後6ヶ月未満の赤ちゃん
 SIDSの90%が生後6か月未満で発症しており、リスクが高い

・寝返りができない、もしくはできても左右のみ、うつ伏せから仰向けのみ、仰向けからうつ伏せのみのいずれかの赤ちゃん
 自由に寝返りができない場合、AAPもうつ伏せになった場合は元に戻すように推奨されている

・うつ伏せに慣れていない赤ちゃん
 普段は仰向けに寝ていてうつ伏せに慣れていない児では、うつ伏せに慣れている児と比べてSIDSのリスクが高い

●うつ伏せのリスクが許容できる可能性のある赤ちゃん

生後6か月以上で、寝返りが自由にでき、普段からうつ伏せの姿勢に慣れている

4. リスクをどこまで許容するか

最終的には、どこまでのリスクを許容できるか、またどれだけのリソースを割けるかという問題になるんじゃ。
たとえば、保育施設などではリスクを極力減らすことが求められ、また家庭と比べて人手も確保できるため、昼寝中のうつ伏せの児はなるべく仰向けに戻すという考えが採択されやすいんじゃ。

一方で、ご家庭で親御さんが一晩中うつ伏せにならないか見張ることは現実的ではないんじゃ。つまり、どこかでリスクを受け入れることにはなるんじゃ。
現実的な提案としては、以下がご家庭での寝返りでのうつ伏せ問題に対するわしの意見じゃ。

寝返りでのうつ伏せに対する家庭での対策(小児科医のおじい案)
・生後6か月未満、寝返りが自由にできない、うつ伏せに慣れていないなどリスクの高い赤ちゃんについては、うつ伏せになっていたら必ず仰向けに戻す
・寝返りが自由にできる赤ちゃんについても、気づいたらできる範囲で仰向けに戻す

また、「うつ伏せだけがSIDSのリスクではない、仰向けならSIDSにならないわけではない」ということを認識し、
・周りに物を置かない
・平らな硬いマットレスとぴったりしたシーツ
といった対策も合わせて行うことが大切じゃ。

11. 安全な睡眠環境、安全でない睡眠環境

Geminiで作成

Geminiで作成

安全な睡眠環境をイラストにしたんじゃ。
最低限守ってほしいポイントは、①仰向け寝②平らで硬めのマットレス+ぴったりしたシーツ③周りに物を置かない、じゃ。

安全な睡眠環境は殺風景に見えるが、それがベストであることをアメリカ小児科学会も提唱しているんじゃ。

まとめ

今回は、赤ちゃんの安全な睡眠環境について解説したんじゃ。
1歳までの赤ちゃんの安全な睡眠環境の3つの原則は、①仰向け寝、②平らな固めのマットレスとぴったりしたシーツ、③周りに物を置かない、じゃ。

SNSで映えるような赤ちゃんの寝床は、必ずしも安全な睡眠環境の推奨にそぐうわけではないんじゃ。
安全な睡眠環境は、シンプルで殺風景で見栄えはよくないものじゃ。

赤ちゃん用の枕をはじめ、ベビー用品として販売されているものであっても、SIDSや窒息のリスクとなりうることにもぜひ注意してほしいんじゃ。

また、うつ伏せがSIDSのリスクとなることは広く知られるようになってきたが、慣れないうつ伏せが特にリスクとなること、寝返りによる二次性うつ伏せもリスクとなりうることも知っておいてほしいんじゃ。

この記事が、お子さんの安全な睡眠環境を作る一助となれば幸いじゃ。

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