こどもの風邪について ~意外と知らなかった科学的事実~
風邪でお子さんの体調を心配される保護者の方は多いんじゃ。熱で機嫌が悪い、咳が眠れない、鼻が詰まって苦しそう、など風邪の症状はお子さんにとっても保護者の方にとってもつらいものじゃ。
一方で、実は「風邪」の多くは特別な治療を必要としない自然に治る感染症であるということもまた事実じゃ。
この記事では、風邪ってそもそも何?どれくらい続くの?薬って効くの?といった疑問を、小児科医の視点から科学的根拠に基づいてわかりやすく解説するんじゃ。
1. 風邪とはなにか
まず、風邪とは何かについて解説していくんじゃ。
ネルソン小児科学という小児科の権威と呼ばれる教科書には、風邪について以下のように書いてあるんじゃ。
感冒(かぜ症候群)とは、鼻汁・鼻閉・咽頭痛を主症状とする急性ウイルス性疾患である。筋肉痛などの全身症状は乏しく、発熱はないかあっても軽度である。
とはいえ、これは最も狭い定義と考えていいんじゃ。
小さいお子さんは風邪で高熱を出すこともあるので、ネルソンの定義は厳密に臨床に即しているとはいいづらいんじゃ。
わしとしては、UpToDate(お医者さんのWikipediaのようなサイト)の内容がわかりやすいと感じるんじゃ。
風邪は、急性で自然に治る上気道のウイルス感染症で、くしゃみ、鼻づまりと鼻水、咽頭痛、咳、微熱、頭痛、倦怠感などの症状が、程度の差はあれ様々な形で現れる。
しかし、『急性で自然に治る上気道のウイルス感染症』と言われても、今ひとつピンとこない方も多いはずじゃ。
そこで、風邪を理解するための3つのポイントをお伝えするんじゃ。

①主にウイルスが原因
風邪の原因は、8割~9割がウイルスなんじゃ(https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-01.html)。
ライノウイルス、コロナウイルス(新型コロナウイルスとは別)、エンテロウイルス、RSウイルスなどが主な風邪の原因ウイルスじゃ。
風邪の原因となるウイルスは200種類以上と言われているんじゃ。これが、こどもが繰り返し風邪にかかる要因のひとつじゃ。
ちなみに、細菌とウイルスの違いについてはご存知じゃろうか?
実は、細菌とウイルスには以下のような違いがあるんじゃ。

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細菌が細胞分裂をして自己増殖できるのに対して、ウイルスは宿主となる細胞に寄生しないと増殖することができないんじゃ。
また、抗菌薬(≒抗生剤、抗生物質)は細菌には効くが、ウイルスには効かないんじゃ。
そして、ウイルス感染症と細菌感染症では、典型的な経過が異なるんじゃ。
ウイルス感染症は、多くが自身の免疫で自然に良くなっていくのに対し、細菌感染症は抗菌薬で治療しないとよくならない、もしくは悪くなっていくことが多いんじゃ。

②自然に治癒する
①とも通じるところじゃが、風邪はウイルスによる感染症のため、時間経過で自然に治癒することが特徴じゃ。
いわゆる『風邪薬』は「風邪を早く治す薬」ではなく、「風邪の症状をやわらげる薬」じゃ。
実は、科学的に根拠のある風邪の薬はほとんどないんじゃ。
というのも、風邪は自然に治っていくため、薬を飲んでも飲まなくても最終的には良くなってしまうんじゃ。そのため、統計学的に「薬を飲んだ方が早く治る」という結果が出づらいんじゃ。

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③上気道の感染症である
上気道とは、空気の通り道のうち鼻からのどまでのことをいうんじゃ。のどから先の気管、気管支、肺を下気道というんじゃ。
風邪は上気道の感染症のため、鼻水、のどの痛み、咳などの症状が出るんじゃ。
発熱、頭痛などの症状は、ウイルスに反応した炎症性物質(サイトカイン)による症状じゃ。

2. 風邪の症状の経過
風邪とは何かについて整理したところで、次は風邪の症状の経過について解説するんじゃ。
それぞれの症状がおよそどの程度続くのかを知っておくことで、ご自宅での看病の見通しが立ちやすくなるんじゃ。
①発熱
発熱は、最初の3日間で下がることが多いとされているんじゃ(1)。
そのため、発熱が4日目以上になった場合は、受診のひとつの目安となるんじゃ。
熱を重症度の目安と考えておられる親御さんも多いんじゃ。
しかし、小児科医は熱だけでは重症度を判断しないんじゃ。
・食事、水分がとれているか
・睡眠がとれているか
・遊ぶ元気があるか、ぐったりしていないか
重症かどうかには大きく関係のないこと
・熱の高さ
・解熱剤が効くかどうか

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②咳
咳は、風邪の症状の中でも最も長引く症状じゃ。
1日目でピークに達し、8日目でも50%以上の児で続くんじゃ(1)。
咳はほかの症状が治まったあとも1~2週間続くことがあり、これを感染後咳嗽というんじゃ。90%の児で咳が改善するまでには25日かかるという報告もあるんじゃ(2)。
③鼻水
鼻水は3日目にピークになり、6日目でも50%以上の児で続くんじゃ(1)。
はじめの数日は透明でサラサラな鼻水が出て、徐々に黄色や緑色の鼻水になってくるんじゃ。
これは、白血球やマクロファージなどの細胞が鼻水の中に分泌されるためじゃ。
鼻水に色がつくのは風邪が治る過程でみられる所見であり、必ずしも悪化しているというわけではないんじゃ。
④のどの痛み
のどの痛みは、3日間でおよそ2/3が改善し、7日目までにほとんどが改善するんじゃ(2)。
咳や鼻水といった症状に比べて、改善が早い傾向があるんじゃ。
⑤耳の痛み
耳の痛みは、風邪を引いた際に中耳炎を起こしていなくてもおこることがあるんじゃ。
2歳から12歳の風邪のお子さんの2/3で、発症から2週間のどこかのタイミングで鼓膜の圧の異常が認められたという報告があるんじゃ(1)。
⑤風邪の全体の経過
発症から10日目で約50%の児が回復、発症から15日で90%の児が回復したと報告されているんじゃ(2)。
つまり、「風邪が治った」という状態になるまで、2週間程度かかることが一般的な経過ということじゃ。

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3. 風邪にかかる頻度
日本でも古くから「こどもは風の子」と言われているが、実際には「こどもは風邪の子」でもあるんじゃ。
子育てをしていると、こどもがいかに頻繁に風邪を引くかに驚かされた親御さんは少なくないはずじゃ。
実際に、こどもがかぜにかかる頻度について報告した論文があるんじゃ。
それによると、1歳未満のお子さんは1年間に平均して6回以上風邪を引くとされているんじゃ。

さらに、集団生活をしているとより頻繁に風邪を引くんじゃ。
一方で、小さいころにたくさん風邪を引いていると、学童期には風邪を引くことが少なくなったともいわれているんじゃ。
前項の通り、1回風邪を引くと治るまでに2週間程度かかる、ということを踏まえると、お子さんが生まれて最初の数年間は風邪を引いて治っての繰り返しとなることが想像がつくかと思うんじゃ。
実際に、小児科の外来で「ずっと風邪が治らないんです」というケースのほとんどは、一回良くなったあとに新しい風邪を引いていることが多いんじゃ。

4. 風邪の治療薬
①解熱薬(熱さまし)
解熱薬は、熱を下げるための薬剤じゃ。
解熱剤の効果に関する文献では、解熱剤は2-3時間で熱を1-2℃下げ、6-8時間で効果が切れて元の熱に戻るとじゃ(1)。
解熱剤で熱が下がったからといって、風邪が治ったわけではないんじゃ。
解熱剤を使うことで風邪が早く治るわけではないが、反対に解熱剤を使うことで風邪が治りにくくなるわけでもないんじゃ(2)。
また、解熱剤には飲み薬と坐薬があるが、両者に効き目の差はないんじゃ。
「坐薬の方が早く効く」という誤解がよくみられるが、効き目の早さ、効果の程度、持続時間のいずれも飲み薬と坐薬で差はないんじゃ(3)。
②鎮咳薬(咳止め)
前述の通り、咳は風邪の中でも最も長く続く症状じゃ。
その一方で、小児において強い科学的根拠(エビデンス)のある咳止め薬はないんじゃ。
以下で、代表的な咳止め薬のエビデンスについて解説するんじゃ。
・コデインリン酸塩
コデインは、麻薬性鎮咳薬の一種じゃ。
延髄の咳中枢に作用して咳を抑える作用があるんじゃ。
かつては小児でも多く使用されていたが、海外で呼吸抑制による死亡事故などが発生したことなどを受けて、2019年度より12歳未満の小児に対しては禁忌となったんじゃ。
上記のような重篤な副作用の報告がある一方で、2014年のコクランデータベースでは「効果としてはプラセボ(偽薬)と比較して有意差がなかった」という報告があるんじゃ(4)。
・デキストロメトルファン(商品名:メジコン)
デキストロメトルファンは、小児の風邪に対して多く使用される咳止めの一つじゃ。
非麻薬性の鎮咳薬で、咳中枢に作用して咳を抑える作用があるんじゃ。
使用頻度に比して有効性を示した研究は乏しく、2014年のコクランデータベースでは、「プラセボよりも有効であるとする充分なエビデンスはない」と述べられているんじゃ(4)。
・チペピジン(商品名:アスベリン)
チペピジンは1960年に日本で販売された薬剤で、今でも咳止めとして頻用される薬じゃ。
咳中枢に直接作用するほか、気道粘膜の線毛運動を亢進させて分泌物の排出を促す作用があるんじゃ。
国産の薬のため、あまり海外での臨床試験が行われていないんじゃ。
国内でも有効性を確認した臨床試験は長らく行われていなかったが、2019年に国内でランダム化比較試験が行われたんじゃ。
「カルボシステイン単剤 vs カルボシステイン+チペピジン」を比較したところ、カルボシステイン単剤の方が保護者の「よくなった」という感想は多かったという結果だったんじゃ(5)。
この報告から考えると、チペピジンが小児の風邪の咳に有効であるとは言いがたいんじゃ。
③去痰薬(痰切り)
去痰薬は、痰や鼻水をサラサラにしたり、気道粘膜を修復する薬じゃ。
小児の風邪に対して非常によく使用されるんじゃ。
・カルボシステイン(商品名:ムコダイン)
カルボシステインは、小児の風邪に対してもっとも頻繁に使用される薬剤じゃ。
気道粘膜を修復したり、気道の分泌物の成分を調整してサラサラにし、出しやすくする作用があるんじゃ。
カルボシステインの有効性を評価した文献は2000年以前の古い論文が多いんじゃ。
コクランデータベースでは、7日目時点での咳の改善効果を示した文献もあるが、1970年代と古い研究かつ研究数も少ないため強いエビデンスとはいえない、と言われているんじゃ(6)。
結論として、カルボシステインは咳や痰の症状にある程度の有効性はあるもののエビデンスとしては弱く、臨床的な意義は低いとしているんじゃ。
・アンブロキソール(商品名:ムコソルバン)
アンブロキソールも、カルボシステインと同じく風邪に対してよく使用される薬剤じゃ。
アンブロキソールは気道粘液の分泌や線毛運動を促進し、痰を出しやすくする作用があるんじゃ。
アンブロキソールの有効性を評価した文献は少なく、システマティック・レビューでも対象となった文献は1つだけだったんじゃ。
その文献も入院小児の肺炎に対する効果のため、外来の小児の風邪に対しての有効性に関しては評価ができないんじゃ。外来での風邪に使用した研究が待たれるんじゃ。
④鼻水止め
風邪の鼻水に対してよく処方されるのが、抗ヒスタミン薬じゃ。
鼻水はヒスタミンやアセチルコリンといった神経伝達物質によって分泌されるんじゃ。
抗ヒスタミン薬はヒスタミンの働きを抑えることで、鼻水に作用するんじゃ。
アレルギー性鼻炎、花粉症の治療としても使用されるため、鼻水の薬という印象は強いと思われるんじゃ。
しかし、コクランデータベースでは、抗ヒスタミン薬は風邪の症状自体を短期的に改善する可能性はあるが、鼻水や鼻づまりに対する有意な効果は認めないと結論づけているんじゃ(7)。
花粉症の鼻水に効くため、つい風邪の鼻水にも効くと考えてしまうところじゃ。
ただ科学的な根拠としては、抗ヒスタミン薬は風邪の鼻水に効くとは言えない、というのが現時点でのエビデンスじゃ。
また、抗ヒスタミン薬には副作用の懸念があるんじゃ。
・鎮静作用
ひとつは鎮静作用じゃ。抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代があり、特に第一世代の抗ヒスタミン薬は鎮静作用が強いため注意が必要じゃ。
第一世代抗ヒスタミン薬
・クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン)
・ジフェンヒドラミン塩酸塩(レスタミン)
・ヒドロキシジンパモ酸塩(アタラックスP)
・シプロヘプタジン塩酸塩(ペリアクチン)
・熱性けいれんとの関連
もうひとつは、熱性けいれんとの関連じゃ。
特に第一世代抗ヒスタミン薬の使用により、熱性けいれんの持続時間が延長したという報告があり、熱性けいれんのガイドラインでも注意喚起されているんじゃ。
以上の副作用の懸念から、第一世代抗ヒスタミン薬は小児では使用を控えた方が良いとわしは考えるんじゃ。
市販の風邪薬の多くは第一世代抗ヒスタミン薬を含んでいるため、基本的に使用はおすすめしないんじゃ。
⑤のどの痛みの薬
のどの痛みに対してよく使用されるのがトラネキサム酸じゃ。
トラネキサム酸はプラスミンという物質の働きをおさえ、抗炎症作用や止血効果を示すんじゃ。
トラネキサム酸も海外での臨床研究はほぼなく、国内でいくつかのランダム化比較試験が散見されるにとどまるんじゃ。
それらの研究の質も高いとは言えず、トラネキサム酸の咽頭痛や咽頭炎に対する有効性の強いエビデンスは乏しいといえるんじゃ。

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参考文献
Wilson JT, et al. J Pediatr. 1991; 119:803-811. PMID: 1941390
Kramer MS, et al. Lancet. 1991; 337:591-594. PMID: 1671951
LH Goldstein et al. Arch Prdiatr Adolesc Med 2008; 162(11): 1642-6. PMID:18981352
Smith SM et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014:CD001831, PMID:25420096
西村龍夫ら, 外来小児科 2019; 22(2): 124-132.
Chalumeau M et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013: CD003124 PMID: 23728642
De Sutter AI et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015: CD009345 PMID: 26615034
5. ○○は風邪に効く?効かない?
前項で、風邪薬が風邪の症状に対してはほとんどエビデンスがない、ということを解説したんじゃ。
では、われわれは風邪の症状に対して打つ手がないのかというと、いくつかのホームケアが風邪の症状に対して有効な可能性があるんじゃ。
①ハチミツ
➡効くかもしれない
※1歳になっていないお子さんは、ハチミツを摂取するとボツリヌス症のリスクがあるため与えないでください。
海外のいくつかの報告で、ハチミツの風邪の咳に対する有効性を示しているんじゃ。
デキストロメトルファンなど、既存の咳止め薬と同等程度の咳止め効果があるという報告もあるんじゃ。
英国のNICEガイドラインでも、セルフケアとしてハチミツを試してよいかもしれない、としているんじゃ(https://www.nice.org.uk/guidance/ng120/chapter/recommendations)。
しかし、ハチミツの研究にはいくつかの課題も残っているんじゃ。
・臨床研究自体が少ない
➡システマティックレビューやメタ解析が充分にできるほどの研究数がない
・短時間の咳止め効果しか評価していない
➡一晩など、短期間の評価しておらず、2~3週間続くであろう咳の症状への中長期的効果は不明
・研究ごとに方法のばらつきが大きい
➡具体的にどれくらいの量をどのように摂取すればいいかが不明
・国内での研究がほぼない
➡海外と日本ではハチミツのもととなる植物やハチの種類は違うため、日本のハチミツが有効かは不明
ハチミツは風邪の咳に対して有効な可能性はあるが、まだ積極的に推奨できる強いエビデンスがあるという段階ではないんじゃ。
②鼻吸い、鼻洗い
➡効くかもしれない
鼻吸い(鼻水吸引)は、道具や器械を使って鼻水を物理的に取り除く方法じゃ。
2018年の文献では、ネブライザーと一体化した鼻吸引器を使用したところ、鼻水や痰がらみの咳の症状が緩和したという報告があるんじゃ。
個人的な実感としても「ぜろぜろしている」と保護者の方が訴えるとき、多くは鼻水が絡んでいるための音で、鼻水吸引でよくなることが多いんじゃ。
また、鼻洗い(鼻洗浄、鼻うがい)も風邪症状に有用だったという報告があるんじゃ。
2024年に鼻洗いの小児の風邪に対する効果についてのシステマティックレビューが出ているんじゃ。対象となった研究は4件と少なくエビデンスとして強いとは言えないものの、一貫して鼻づまりの軽減と呼吸機能の改善が認められたという結果だったんじゃ。
鼻洗いでは、鼻水を物理的に洗い流せるだけでなく、付着したウイルスやアレルゲンも取り除けるため、ホームケアの手段として有用じゃ。
年長児であれば市販の鼻うがいキット、年少児や乳児であれば生理食塩水の点鼻やスプレータイプなどが使いやすいんじゃ。
NeilMed社の製品などはよくおすすめするんじゃ。
③ツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)
➡効かない
ツロブテロールテープは風邪の際に「咳止めのテープ」として処方されることのある貼付剤じゃ。
しかし、実際はツロブテロールテープはかぜの薬ではなく喘息の治療薬じゃ。
喘息でせまくなった気管支を広げる気管支拡張薬の成分を含んでテープであり、咳自体をとめるわけではないんじゃ。
実際に、コクランデータベース(大規模研究をまとめて報告するデータベース)でも気管支拡張薬(内服薬)は、喘息などの呼吸器疾患のない咳や気管支炎の咳には効果がない、としているんじゃ。
その一方で副作用の懸念はあり、興奮、手の震え、動悸といった副作用が報告されているんじゃ。
テープ(貼付薬)は内服の手間もなくつい頼りたくなってしまうが、ホクナリンテープは喘息の治療薬であり、風邪の咳に対する効果はないことに注意が必要じゃ。
④抗菌薬(抗生物質)
➡効かない
風邪はウイルス疾患であり抗菌薬は無効、というのはこれまでにお伝えしてきている通りじゃ。
これは理論だけでなく、実際に文献でも示されているんじゃ。
コクランデータベースでは、抗菌薬は風邪に対して、プラセボ(偽薬)と比較して優れてはいないという結果だったんじゃ(1)。
また、治療効果はなくても重症化予防効果はあるのでは?とお考えの方もいるかと思うんじゃ。
しかし、抗菌薬による風邪の重症化予防効果もかなり低いんじゃ。
肺炎や扁桃周囲膿瘍の予防効果は約7000人に1人という報告'(2)や、肺炎による入院の予防効果は約12000人に1人という報告(3)があるんじゃ。
抗菌薬の使用によるデメリットとして、抗菌薬下痢症、薬疹、アレルギー、耐性菌の出現など多岐にわたるんじゃ。特に、抗菌薬による腸内細菌叢の乱れについては近年注目されており、幼少期から繰り返し抗菌薬を使うことでアレルギー疾患など様々な疾患のリスクになることが知られてきたんじゃ(4)。
そのため、風邪に対して安易に抗菌薬を使用することは控えた方がええんじゃ。

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参考文献
まとめ
以上、小児の風邪について『意外と知らなかった科学的事実』として解説してきたんじゃ。
風邪は基本的に自然に治る疾患であり、風邪に対して科学的根拠のある薬剤というのは実は少ないということを知っていただけると幸いじゃ。
風邪薬を使ってはいけない!というわけではなく、風邪薬に対して現状の科学的根拠以上の過度な期待をしない方がよい、ということじゃ。
また、風邪の症状は一般の方が思っている以上に長く続くんじゃ。「風邪の症状は2週間程度続く」「咳は1ヶ月近く続くこともある」「発熱4日目になったら要注意」といった統計データを知っておくと、ご自宅で看病する際の目安になるんじゃ。
今回の記事が、日々育児に励んでおられる保護者の方の一助になれば幸いじゃ。
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