赤ちゃんに白湯は必要?果汁は?牛乳は? 赤ちゃんの飲み物について解説します
赤ちゃんにいつから何を飲ませるかについては、子育てをしていた世代によっても認識が異なる問題じゃ。かつては、離乳食開始前の赤ちゃんに白湯や果汁を飲ませることが一般的だったんじゃ。
また、昨今でも「お風呂あがりには白湯を」「離乳食を始める前には果汁を」といった育児指導がなされることもあり、混乱している親御さんもいらっしゃることと思うんじゃ。
そこで今回は、「赤ちゃんにはいつ、なにを飲ませたらいいか」という赤ちゃんの飲み物問題について解説するんじゃ。
1. 生後6ヶ月までは母乳、ミルクのみ
WHOの推奨では、生後6ヶ月までは母乳のみを与えることを推奨しているんじゃ。
この時期に母乳やミルクよりもカロリーの低いものを与えると、栄養不足になる懸念があるからじゃ。
「生後6ヶ月までは母乳のみ」というのはWHOが母乳育児を推奨しているからじゃが、現在の日本の育児環境をふまえると「生後6ヶ月までは母乳、ミルクのみ」と考えていただくのがええんじゃ。
以下の図は、母乳・ミルクから得られるエネルギー(以下カロリー)と必要エネルギー量のグラフじゃ。
生後6ヶ月ごろまでは、母乳・ミルクのみで必要なカロリーを得ることができるんじゃ。
裏を返すと、生後6ヶ月までに母乳・ミルクよりもカロリー量が少ない水や白湯、お茶などを飲んでしまうと、カロリー不足になってしまうんじゃ。
生後6ヶ月以降は、母乳、ミルクだけだとカロリーや栄養(鉄、ビタミンなど)が不足するため、離乳食(補完食)を始めていく必要があるんじゃ。
2. 水、白湯、お茶
⇒生後6ヶ月までは不要
生後6ヶ月からは、水、白湯、お茶などを「与えてもよい」んじゃ。
「水やお茶を積極的に与えた方がいい」とする指針やガイドラインは特にないんじゃ。
風邪や胃腸炎の時でも、母乳、ミルクは与えて問題ないんじゃ。ミルクを薄めて与える必要もないんじゃ。
「授乳は欲しいときに欲しいだけ」というのが原則で、あえて保護者が飲む量を調節する必要はないんじゃ。
母乳、ミルク、離乳食が充分に摂れていることがまず大切で、その上で補助的な水分補給として水、お茶を与えるとええんじゃ。
3. 果汁・ジュース
⇒1歳までは不要、できれば2歳まで与えない
かつては、離乳食を始める前に果汁を飲ませることが一般的だったんじゃ。
これには、「母乳やミルク以外の味に慣れさせる」「スプーンに慣れさせる」という目的があったんじゃ。
また、現在と比較してミルクに含まれるビタミンが不足しており、それを補う役割もあったと言われているんじゃ。
しかし、現代では特に離乳食前に果汁を与える必要はないとされているんじゃ。
さらに言うと、離乳食開始後もあえて果汁を与える必要はなく、果物をそのまま与える方が良いんじゃ。
米国小児科学会は、果汁は糖分が多く肥満のリスクとなる、遊離糖が含まれむし歯のリスクとなるなどの理由から、1歳までは果汁や果汁ジュースを与えないことを推奨しているんじゃ。
果汁は生の果物と比べて食物繊維が不足している、噛むことがなく唾液の分泌が促されないといった特徴があるため、果汁が果物と比べて栄養的に優れている部分はないとしているんじゃ。
離乳食前に果汁がいらない理由
・栄養不足になる
果汁は母乳、ミルクと比べてカロリーが少なく、生後6ヶ月未満で与えると栄養が不足する懸念があるんじゃ。
・離乳食前に「慣れさせる」必要はない
離乳食を開始する生後6ヶ月ごろまでは挺舌反射があるんじゃ。これは、ものが口に入ってきたときに舌で押し返す反射のことじゃ。挺舌反射は出生直後から生後5-6ヶ月ごろまで続くんじゃ。
この反射があるため、生後6ヶ月ごろまでの赤ちゃんはスプーンで飲むこと自体が難しく、慣れさせる意味が薄いんじゃ。スプーンに慣れさせるのは挺舌反射が消失する時期からで遅くはないんじゃ。
また、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドにも「離乳食開始前に果汁やイオン飲料を与える栄養学的意義はない」としているんじゃ。
・水やお茶を飲まなくなる
果汁やイオン飲料など、甘い飲み物になれた赤ちゃんは、その後水やお茶をあまり飲まなくなるという研究があるんじゃ。
・下痢のおそれがある
果汁に含まれる果糖は主に小腸で吸収されるんじゃ。ただ、過剰な果糖は小腸で吸収しきれず大腸に流れていき、浸透圧差によって下痢や腹部膨満の原因となるんじゃ。
水やお茶を飲まずに果汁(果汁ジュースを含む)を常飲すると、カロリー過多につながり肥満の原因となるおそれがあるんじゃ。
甘い飲み物との付き合い方については後述するんじゃ。
果汁は何歳から?
米国小児科学会は、果汁に対する推奨は1歳からとしているが、後述する遊離糖については2歳からとしているんじゃ。
果汁は遊離糖を含むため、厳密には果汁は2歳からというのが正確じゃ。
100%ジュースも含め、果汁は2歳までは与えないことが望ましいんじゃ。
また、早期からジュースを飲んでいると水をあまり飲まなくなるという報告もあり、その点でも水やお茶より前に果汁を導入することは望ましくないんじゃ。
4. 牛乳
⇒1歳までは飲み物としては与えない
牛乳は、1歳までは飲み物としては与えない方がいいんじゃ。
ヨーグルトなどの加工品や、料理の調味料として使用する分には問題ないんじゃ。
牛乳を0歳から飲み物として与えることの問題点は、鉄欠乏性貧血のおそれがあることじゃ。
牛乳の飲みすぎによる貧血を、『牛乳貧血』と呼ぶことがあるんじゃ。これは医学的な病名ではなく、あくまで俗称じゃ。
牛乳の飲みすぎで貧血になるわけ
・牛乳は鉄分が少ない
牛乳は鉄分が豊富なイメージを持っている方もいるかと思うんじゃ。
しかし実際は、牛乳に含まれる鉄分はごくわずかなんじゃ。

診断と治療社 小児科外来や乳幼児健診で使える食と栄養相談Q&A より
牛乳の飲む分、授乳や食事から得られる鉄分が減ってしまうことが貧血をきたす原因の一つじゃ。
・カルシウム、カゼインが鉄の吸収を阻害する
牛乳に含まれるカルシウムは、鉄と不溶性の複合物を形成し、鉄の体内への吸収を妨げてしまうんじゃ。また、牛乳に含まれるタンパク質であるカゼインも、鉄と結合して吸収を妨げてしまうと言われているんじゃ。
以上の理由から、牛乳を飲料として摂取するのは1歳以降からが推奨されているんじゃ。
米国小児科学会は、牛乳の摂取量としてコップ1,2杯まで(500ml程度まで)を目安としとるんじゃ。
5.フォローアップミルク
⇒離乳や体重増加が順調なら不要
健診でよく聞かれる質問の一つが、「いつからフォローアップミルクに切り替えた方がいいですか?」というものじゃ。
フォローアップミルクは、「栄養のある強化版ミルク」「普通ミルクから切り替えていくもの」というイメージを持たれている方も多いんじゃ。
実際は、フォローアップミルクは牛乳の代用品であり、普通ミルクの代用品というわけではないんじゃ。
フォローアップミルクは、牛乳で過剰になりやすいタンパク質を減らし、不足しやすい鉄やビタミンを強化しているんじゃ。
また、育児用ミルクと比べると、タンパク質、鉄、カルシウムが強化されているんじゃ。

診断と治療社 小児科外来や乳幼児健診で使える食と栄養相談Q&A より
授乳・離乳の支援ガイドでも、成長や離乳に問題のないお子さんはフォローアップミルクは必要ないとしているんじゃ。
体重の増加が順調でない、離乳食がすすまない、鉄欠乏性貧血のリスクがある、といった場合に医師と相談の上でフォローアップミルクを取り入れるかを検討することが望ましいんじゃ。
6. イオン飲料
⇒2歳までは与えない、2歳以降も週にコップ1杯まで
イオン飲料は2歳までは原則不要
イオン飲料とは、ナトリウムやカリウムなど、ミネラルが含まれた清涼飲料水じゃ。
スポーツドリンクもイオン飲料に含まれるんじゃ。
イオン飲料は、2歳までのお子さんには原則不要じゃ。
汗をかいたときの水分摂取も、基本的には水かお茶で問題ないんじゃ。
1時間以上の運動や、猛暑環境による大量発汗があるような状況では必要に応じて糖分、塩分の摂取を一緒に行うのがええんじゃ。
詳しくは次項の水分摂取フローチャートも参照していただきたいんじゃ。
イオン飲料とビタミンB1欠乏症
イオン飲料の問題点として、常飲によるビタミンB1欠乏症の懸念があることじゃ。
イオン飲料の飲み過ぎでビタミンB1が欠乏する理由は、糖分過多と栄養の偏りじゃ。
ビタミンB1は糖分の代謝に必要なビタミンじゃ。イオン飲料には糖質が多く含まれているが、ビタミンはほとんど含まれていないんじゃ。
そのため、イオン飲料を常飲していると、ビタミンB1が糖分の代謝にどんどん使われて、欠乏してしまうんじゃ。
ビタミンB1欠乏症の症状
・初期症状は嘔吐、下痢、むくみ、活気不良、食欲低下など
・重篤化すると神経症状(意識障害、けいれん、手足のしびれ、眼球運動障害、歩行障害など)、心不全症状(動悸、息切れ)が出現
・最重症例では脳症をきたす
ビタミンB1欠乏による脳症を特にウェルニッケ脳症、末梢神経障害や心不全症状を脚気と言う
イオン飲料の常飲のきっかけとしては、胃腸炎などの体調不良でイオン飲料を飲む→味が気に入って元気になっても飲み続けてしまう、というパターンが多いんじゃ
体調不良時にイオン飲料などを与える場合も、体調が改善したら普段の飲み物は水やお茶に戻すことが大切じゃ。
「イオン飲料は体にいい」「栄養、ビタミンが豊富である」というイメージを持っている方も多いんじゃ。
乳幼児にとって、イオン飲料は注意が必要な嗜好品であることを意識していただきたいんじゃ。

イオン飲料の飲みすぎでビタミンB1欠乏になる理由
スポーツドリンク
スポーツドリンクは、日常生活での摂取はおすすめしないんじゃ。
日常の水分摂取は水やお茶で問題ないんじゃ。夏などは電解質(ミネラル)不足を心配されるかもしれんが、基本的に食事が充分にとれていれば塩分不足の心配はないんじゃ。
スポーツドリンクは糖分が多いことが特徴じゃ。
スポーツ時の糖分補給がメインの使い方となるんじゃ。
スポーツドリンクが有用なのは、1時間以上の激しい運動をする場合じゃ。
以下のような場面は、水かお茶での水分補給で問題ないんじゃ。
・日常の水分摂取
・入浴後
・短時間の運動(1時間以内)
米国小児科学会は、1時間以上の運動や高温多湿環境以外の水分補給は水で良いとしているんじゃ。
アメリカでは、州によっては学校でのスポーツドリンクの販売が禁止されているんじゃ。
経口補水液
経口補水液は、糖分、塩分の濃度を調整して水分の吸収効率をよくした飲料じゃ。
スポーツドリンクと比べると、塩分が多く糖分が少ないんじゃ。
経口補水液は脱水症の治療である経口補水療法に用いられるもので、日常的に飲むものではないんじゃ。
胃腸炎による嘔吐下痢からの脱水症や、暑熱環境での熱中症などの『治療』として使用する飲料じゃ。
日常生活で常飲するのは、塩分過多になるおそれがあるんじゃ。
あくまで、「経口補水液は症状があるときの飲み物」であり、医師の指示の上で使用することが望ましいんじゃ。
各イオン飲料の比較

各飲料の比較

7. 水分摂取フローチャート
「いつ、なにを飲むか」をまとめた水分摂取のフローチャートを作成したんじゃ。
生後6ヶ月以降のお子さんの水分摂取のしかたの参考にしていただけると幸いじゃ。

水分摂取フローチャート
かいつまんで解説するんじゃ。
水分摂取フローチャートのポイント
・普段の水分摂取⇒水かお茶
・嘔吐下痢、熱中症、脱水症などの症状がある⇒経口補水液
・脱水はないが体調が悪いとき⇒経口補水液、もしくは本人が飲めるもの
・1時間以上の運動や、高温多湿環境⇒アイソトニック飲料またはハイポトニック飲料
8. 甘い飲み物に対する考え方
⇒果汁ジュースや加糖飲料は2歳から、週に1杯まで
WHOやAAP(米国小児学会)、AHA(米国心臓協会)、国際小児歯科学会など多くの団体が、2歳までのお子さんには遊離糖を与えないことを推奨しているんじゃ。
遊離糖とは、食品に添加された糖や、果汁・ハチミツに含まれる糖をさすんじゃ。生の野菜、果物、牛乳などに含有する糖は遊離糖には含まれないんじゃ。
遊離糖には、むし歯、肥満、高血圧、脂肪肝、脂質異常症、糖尿病などの健康リスクがあるんじゃ。
米国小児科学会の遊離糖の摂取に対する推奨をまとめると以下の通りじゃ。
遊離糖の摂取に対する推奨
・遊離糖は2歳までは与えない
・2歳以降は、遊離糖は1日のカロリーの10%まで、できれば5%まで(目安としては100kcal以内)
・遊離糖を含む飲み物(果汁ジュース、清涼飲料水など)は週にコップ1杯(240ml程度)まで
まとめ
ここまで、赤ちゃんの飲み物について解説してきたんじゃ。
過去と現在で推奨が異なっている内容もあれば、近年の研究でわかってきた内容もあるんじゃ。
赤ちゃんの飲み物は母乳、ミルクを中心に、補助的に水・お茶を与えることが基本じゃ。
牛乳は1歳になってから、果汁・ジュース・イオン飲料(清涼飲料水)は2歳になってから、というのが世界的な推奨じゃ。
市販品では「〇ヶ月から」という表記のある飲料もあるが、それらが必ずしも健康のための推奨にそぐうわけではない、ということをぜひ知っておいてほしいんじゃ。
この記事が、お子さんの健康づくりのお役に立てば幸いじゃ。
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