アレルギー検査、する?しない? アレルギー性鼻炎と食物アレルギーの検査について

花粉症のシーズンになると、アレルギー検査を希望されるお子さんがよく来院します。また、入園・入学前になると「アレルギー検査はした方がいいですか?」という質問をよくいただきます。今回は、アレルギー検査の考え方について解説します。
小児科医のおじい 2026.04.16
誰でも

花粉症のシーズンは、アレルギーの検査を希望される患者さんが多くなるんじゃ。
また、入園・入学前になるとアレルギー検査を希望されたり、園からの検査の指示があって来院する方もいらっしゃるんじゃ。
しかし、医療の現場ではアレルギー検査が適切に行われてなかったり、解釈が誤っているケースも多く見受けられるんじゃ。

そこで今回は、アレルギー検査についてどのように考えればいいかを解説していくんじゃ。 なお、今回は小児科への受診を想定して、主に小児科で行われる検査について述べていくんじゃ。

アレルギー検査を行う疾患

アレルギー検査を希望される場合の対象疾患として多いのが、花粉症(アレルギー性鼻炎)食物アレルギーじゃ。

アレルギーを起こす原因物質をアレルゲンと呼び、食物系アレルゲンと吸入系アレルゲンに大別されるんじゃ。
食物アレルギーは食物系アレルゲン、アレルギー性鼻炎や気管支喘息といった疾患は吸入系アレルゲンが症状の誘因となるんじゃ。

感作と発症の違い

アレルギーには、「感作」と「発症」という2つの段階があるんじゃ。

感作…アレルゲンが体内に侵入し、免疫反応によりIgE抗体が産生された状態
発症…すでに感作されたアレルゲンが体内に侵入し、アレルギー症状が引き起こされた状態

アレルギー検査で陽性でも症状がない、という場合は感作はしているが発症はしていない段階ということじゃ。

Geminiで作成

Geminiで作成

アレルギー性鼻炎と検査

アレルギー性鼻炎は、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分類されるんじゃ。

・通年性アレルギー性鼻炎  
症状の出る時期:1年間を通して  
原因:ダニ、ハウスダストなど
・季節性アレルギー性鼻炎  
症状の出る時期:花粉の飛ぶ時期のみ  
原因:花粉(スギ、ヒノキなど)

季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎を併発している患者さんも多いんじゃ。

さて、アレルギー性鼻炎の診断についてじゃ。
結論から言うと、アレルギー性鼻炎の診断に検査は必須ではないんじゃ。

鼻アレルギー診療ガイドライン2024では、問診や身体診察(鼻腔内の所見など)で典型的なアレルギー性鼻炎の所見があれば、アレルギー性鼻炎と診断して治療を開始して良いとしているんじゃ。

検査を考慮するケース
・症状、身体所見が典型的ではない
・治療に反応が乏しい
・アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を行う
・生物学的製剤を使用する

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の治療としては、以下があるんじゃ。
・抗ヒスタミン薬内服
・点鼻ステロイド薬
・アレルゲン免疫療法
・生物学的製剤

このうち、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)と生物学的製剤(ゾレア:一般名オマリズマブ)を使用する際は事前にアレルギー検査が必要なんじゃ。

裏を返すと、点鼻ステロイド薬や抗ヒスタミン薬の内服を行うだけであれば、アレルギー検査は必須ではないんじゃ。

アレルギー検査に限らず、一般的に検査とは「検査を行うことで今後の方針が変わる場合にのみ行う」というのが原則じゃ。
アレルギー検査をしてもしなくても治療方針がかわらないのであれば、その検査は行う意義が少ないんじゃ。

小児、特に小さいお子さんでは血液検査を行うことのご本人への負担も大きいんじゃ。
検査をした結果、ご本人にとってそれに見合うだけの得るものがあるかどうかは検査前に考えておく必要があるんじゃ。

食物アレルギーと検査

食物アレルギーについても、検査を希望される方は多いんじゃ。 特に、離乳食期のアレルギーを心配されてのご相談や、入園・入学前のアレルギー相談がよくあるんじゃ。

食物アレルギーについても原則は同じで、「検査を行うことで今後の方針が変わる場合にのみ行う」のが原則じゃ。

食物アレルギーの治療方針としては、「除去をするかどうか」が一番大きなところじゃ。次に大切なのが「どれだけ食べられるか」じゃ。
現在では、食物アレルギーについては「必要最低限の除去」が推奨されとるんじゃ。「念のため」「心配だから」といった曖昧な根拠による除去は、栄養面や生活への負担の懸念もあり、推奨されていないんじゃ。

検査をすることを考えるのは、「食べて何かしら症状のあった食品に対して」というのが原則じゃ。
離乳食の開始前や入園・入学前にあらかじめ検査をする必要はないんじゃ。症状がないのに検査を行うことで不必要な除去につながり、かえって食物アレルギーの発症を誘発したり、栄養の偏りをきたしたりする懸念があるんじゃ。

血液検査と食物負荷試験

食物アレルギーに対する検査として、血液検査と食物負荷試験があるんじゃ。

血液検査はアレルギー性鼻炎と同じく、食物に対するIgE抗体の存在を調べる検査じゃ。 食物負荷試験は、実際にアレルギーが疑われる食物を食べて症状が出るかを見る検査じゃ。

食物アレルギーの診断の最も確実な検査は『食物負荷試験』じゃ。
血液検査は、食物アレルギーの可能性の高い低いの推定までしかできないんじゃ。血液検査の数値が高くても症状が出ないこともあり、数値が低くても症状が出ることもあるんじゃ。

アレルギー検査の数値と年齢から、症状の出やすさを推定するプロバビリティカーブというものがあるんじゃ。
これにより、食物を摂取した場合の症状誘発のリスクを推定できるんじゃ。

ミルクのプロバビリティカーブ 食物アレルギーの診療の手引き 2023より

ミルクのプロバビリティカーブ 食物アレルギーの診療の手引き 2023より

もし、原因と思われる食物を食べて症状が出ていないのであれば、血液検査よりも確実性の高い食物負荷試験をクリアしているということじゃ。その場合は、血液検査は不要なことが多いんじゃ。

血液検査を行うのは、食物でなにかしらの症状があり、問診や診察から食物アレルギーが疑われた場合じゃ。
食物アレルギーの診断がついた場合は、原因食物の除去や摂取量・調理方法の制限(非加熱は禁、など)を決定していく必要があり、検査を行う意義があるんじゃ。

一方で、特に症状が出ていない場合にスクリーニングとして血液検査を行うことは推奨されていないんじゃ。 仮に検査で陽性であっても、食べて症状がなければ除去の必要はないんじゃ。
検査をしてもしなくても方針に変わりがなければ、その検査の意義は乏しいんじゃ。

注意が必要なアレルギー検査

1. アレルギーのセット検査(View39、MAST36など)

アレルギー検査には、39項目(View39)、36項目(MAST36)を同時に調べられるセット検査があるんじゃ。
微量の血液で検査ができ、多項目を同時に調べられることから希望される親御さんも多い検査じゃ。

しかし、このセット検査にはいくつか注意点があるんじゃ。
わしの意見としては、少なくとも食物アレルギーに対してのセット検査はおすすめしないんじゃ。

アレルギーセット検査の注意点① 不必要な除去につながりうる

セット検査で、すでに問題なく食べている食物で陽性となった場合、「検査で陽性だから念のため除去」という対応をされることがあるんじゃ。
しかし、前述の通り「食べて症状がなければ検査陽性でも食べて良い」んじゃ。

不適切な除去は、かえってアレルギー症状が出やすくなったり、栄養の偏りをきたしたり、といった不利益があるんじゃ。

アレルギーセット検査の注意点② 症状出現の可能性が推定できない

アレルギーセット検査の数値は、プロバビリティカーブの算出に用いられる個別の検査の数値との相関がなく、症状出現の可能性が推定できないんじゃ。

また、セット検査ではアレルギーコンポーネントというアレルギー食材ごとのアレルギー成分についての検査(卵に対するオボムコイドなど)もできないんじゃ。
アレルギーコンポーネントの検査を併用することで食物アレルギーの診断制度はより高くなるが、セット検査ではそれができないんじゃ。

アレルギーセット検査の注意点③ ガイドライン上の位置づけ

食物アレルギーの診療の手引き2023では、『セット検査は原因不明の食物アレルギーの検索など スクリーニング検査として位置づけられ、診断や臨床経過の評価に用いることは推奨できない』としとるんじゃ。

セット検査で食物アレルギーの診断をしたり、除去の根拠とすることは推奨されていないんじゃ。

アレルギーセット検査の使いどころ

アレルギーのセット検査は、「吸入系アレルゲンのスクリーニング」というのが実際の使いどころと考えるんじゃ。

微量の採血で結果が出るため、採血が難しい幼児でも検査ができるという点はメリットといえるんじゃ。
ただし、そのような幼児では舌下免疫療法も年齢的に適応にならず、検査をする意義があるかというと微妙なところじゃ。

2. 遅延型アレルギー検査(IgG検査)

ちまたでは、遅延型アレルギーの検査などといって、特異的IgEではなくIgGを測定するという検査があるんじゃ。
これは、意味のない検査として学会でも否定されている検査じゃ。

そもそも、遅延型アレルギーという病名自体が正式な医学病名ではないんじゃ。
アレルギー検査に誘導するための商業的な病名と考えていいんじゃ。

血中食物抗原特異的 IgG 抗体検査に関する注意喚起

血中食物抗原特異的 IgG 抗体検査に関する注意喚起

IgG抗体は、これまでに摂取した食物に対して産生される抗体であり、アレルギー反応を起こすIgE抗体とは異なるんじゃ。
IgG抗体価は、その食品のこれまでの摂取量に相関し、アレルギーのない人でも陽性になるんじゃ。

そのため、特異的IgG検査は国内だけでなく海外の多くの学会から行わないように勧告が出ているんじゃ。

アレルギー検査 まとめ

アレルギー性鼻炎

・薬で症状を抑えるだけであれば検査は必須ではない
・舌下免疫療法、生物学的製剤を使用する場合は検査が必要

食物アレルギー

・離乳食前、入学前などの事前の検査は不要
・食べて症状がある食物についてだけ検査を行うことを考慮
・セット検査を根拠に食物アレルギーの診断、除去を行うべきではない
・遅延型アレルギー検査(特異的IgG検査)は行うべきではない

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