こどもの“熱”に関して、知っておきたい7つのこと

こどもの発熱は子育てにつきものじゃ。「どこまで様子を見ていいの?」「薬の効果は?使い方は?」といったよくある疑問にお答えしていくんじゃ。
小児科医のおじい 2026.03.25
誰でも

小児科にお子さんを連れてくる親御さんの最も多い心配事が、お子さんの熱じゃ。
お子さんが高熱で苦しんでいるのを見るのは、看病する親御さんも辛いことは小児科医も痛いほど理解できるところじゃ。

そして、熱の怖いところは「何が起きるかわからない」ところにあるのではないかと思うんじゃ。
「熱が何日も続いたらどうしよう?」
「高熱で脳に障害が残ったら?」
「解熱剤が効かないってことは、重症な病気?」
といった質問を、小児科の外来や夜間救急でよくいただくんじゃ。

そこで今回は、わしが小児科の診察室でよく受ける熱に関する質問にQ&A形式でお答えしていくんじゃ。

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Q1:熱で脳に障害が出ることはありますか?
A1:風邪の熱で脳に障害が出ることはほぼありません

まず、風邪を始めとした感染症ではなぜ熱が出るのかを考えるんじゃ。

体温を制御しているのは、脳の視床下部というところじゃ。
病原体が侵入すると、炎症性サイトカインという物質が産生され、脳の視床下部に働いて体温の設定温度があがるんじゃ。

体温上昇による感染症への効果
・免疫反応の活性化
・病原体の増殖抑制

つまり、発熱は感染症に対する体の防御反応なんじゃ。
必ずしも、発熱自体が体にとって有害なわけではないんじゃ。

2. 内因性の熱と外因性の熱 ~発熱と高体温の違い~

感染症の際には、体の内部で反応が起きて内因性に体温が上昇するんじゃ。
一方で、熱中症などの際は外環境の影響で体温が上昇するんじゃ。
この二つは、「発熱」と「高体温」として区別されるんじゃ

発熱…体内の反応により熱が上がること 原因:感染症など
高体温…体外の環境により熱が上がること 原因:熱中症など

3. 高体温は脳への影響が懸念される

発熱と高体温を比べると、高体温の方が脳への影響が懸念されるんじゃ。

内因性の発熱の場合、体への影響がないよう脳がコントロールするんじゃ。脳の障害をきたすレベルは、体温41.6~42.0℃という報告があるが(1)、そこまで体温が上がることは稀じゃ。

一方で、熱中症など体外環境による高体温では、体温の制御が効かずにどんどん体温が上昇してしまい、脳へのダメージが現れるおそれがあるんじゃ。

4. 脳に影響しうる要注意な“熱”

風邪などの熱では脳に影響することはほぼない、というのは上述した通りじゃ。
しかし、ごく稀に脳に影響しうる熱があるんじゃ。

それは、細菌性髄膜炎、脳炎、脳症といった、脳自体に感染や炎症が及んでいる場合じゃ。
これらの疾患では、熱が高くなくても脳自体にダメージが生じうるため、注意が必要じゃ。

頻発するけいれんや、意識がおかしい、受け答えがおかしいなどの症状があったら注意が必要じゃ。

5. まとめ

・風邪の熱だけで脳に障害をきたすことはほぼない
・熱のみで脳に障害をきたす可能性がある体温はおよそ42℃以上だが、そこまで熱が上がることはめったにない
・高温環境による高体温や、脳に炎症が起きる髄膜炎・脳炎・脳症などでは脳に障害が出るおそれもある

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Q2:熱が高ければ重症ですか?
A2:熱の高さと重症度は必ずしも一致しません

1. 熱が高い=重症、というわけではない

「熱が高い=重症」というのは非常にわかりやすい図式ではあるが、これは実際の現場において必ずしも正しいとはいえないんじゃ。

イギリスのNICEガイドライン(英国国立医療技術評価機構が発行するガイドライン)でも、“生後6カ月以上のこどもは、熱の高さだけで重症度を判断してはいけない”としているんじゃ。

2. 高熱のときに心配すべきこと

風邪などによる高熱の際に心配すべきことは、熱の高さというよりも全身の状態じゃ。

食事や水分が摂れているか、睡眠がとれているか、呼吸が苦しそうな様子はないか、ぐったりしている様子はないか、といったような点じゃ。

「食う・寝る・遊ぶ」が元気のバロメーターじゃ。

以下のサイトで、発熱時の受診の緊急度を調べることができるんじゃ。

3. 重症度の目安

前述のNICEガイドラインでは、発熱時の重症度の目安も示しているんじゃ。

参考文献をもとに筆者作成

参考文献をもとに筆者作成

緑➡自宅で経過観察
黄➡日中に医療機関を受診
赤➡ただちに受診、必要に応じて救急要請

あくまで目安ではあるが、参考にしていただければ幸いじゃ。

4. まとめ

・熱の高さだけでは重症かどうかはわからない
・重症度は食事、睡眠、活気などから総合的に判断する

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Q3:熱は何日続いたら注意が必要ですか?
A3:熱が4-5日以上続いたら注意が必要です

一般的な風邪では、熱は3日以内に下がることが多いんじゃ(Uptodate)。

発熱が4日目、5日目となってくると、普通の風邪ではない可能性がでてくるんじゃ。
前述のNICEガイドラインでは5日以上の発熱では、川崎病などの可能性を考慮する必要があるとしているんじゃ。

『熱が4日以上続く場合は要注意』というのは、熱の期間を見るうえで大切な視点じゃ。

まとめ

・発熱が4-5日以上続く場合は、風邪以外も考慮して受診(または再診)する目安となる

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Q4:解熱剤を使うと風邪は早く治りますか?
Q4:解熱剤で風邪の治りは早くも遅くもなりません

解熱剤を使うと、2-3時間で体温が1-2℃下がり、6-8時間で元に戻るんじゃ。
この解熱剤による解熱効果はあくまで一時的なもので、根本的な熱の原因の治療とは関係のない部分なんじゃ。

また、解熱剤を使うことで平熱まで熱が下がることを期待される親御さんもおられるが、そこまでの効果が得られるという保証はないんじゃ。

一次的に熱が下がり、元気が出ることであたかも治ったかのように錯覚してしまいがちじゃが、解熱剤により風邪が早く治るということはないんじゃ。

一方で、解熱剤を使って熱を下げると免疫の働きが悪くなり、かえって治りが遅くなるのではないか、と心配される親御さんもいるんじゃ。

現時点では、解熱剤を使うことで風邪の治りが悪くなることはないとされているんじゃ。
そのため、お子さんが熱が高くて苦しんでいるなら解熱剤を使うことに躊躇する必要はないんじゃ。

まとめ

・解熱剤で風邪が早く治ることはない
・解熱剤が風邪の治りを遅くすることもない

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Q5:解熱剤が効かないということは重症ですか?
A5:解熱剤の効き目と重症かどうかは関係ありません

解熱剤を使っても熱が下がらないと、「それだけ熱の勢いが強い、重症の熱なんだ」と考える親御さんは少なくないんじゃ。

しかし、実際には解熱剤の効き目と重症度は関係ない、と上述のNICEガイドラインでは述べられているんじゃ。
また、解熱剤が効かないから風邪ではない、というわけでもないんじゃ。

やはり、食事や水分の摂取状況、呼吸や皮膚色の状態、睡眠の状況が重要じゃ。

まとめ

解熱剤が効くかどうかと、重症かどうかは関係ない

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Q6:解熱剤はどのタイミングで使うのがいいですか?
A6:熱で食事や水分、睡眠がとれないときに使うといいです

解熱剤を処方した際に、「熱が何℃になったら使えばいいですか?」と聞かれることがあるんじゃ。
小児科医がすすめる解熱剤の使いどきは、「熱の高さではなく本人の様子で決める」じゃ。

解熱剤を使う目的は「熱を下げること」というよりも、「熱が下がることで、食事や睡眠がとれるようになること」なんじゃ。
裏を返せば、熱が39℃あっても食事、水分、睡眠がとれて普段通り過ごせているのであれば、解熱剤の使用は必須ではないんじゃ。

また、「寝ているときに、起こして解熱剤を使う必要はありますか?」という質問もよくあるんじゃ。この質問に対する答えは、「眠れているのであれば解熱剤を使う必要はありません」じゃ。
熱で汗をかいて寝苦しい、という様子であれば解熱剤を使うことも考慮されるんじゃ。

まとめ

解熱剤は、熱の高さではなく本人の症状や様子をみて使うべきかを判断する

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Q7:解熱剤は飲み薬と坐薬のどちらがいいですか?
A7:効果は変わらないので、使いやすい方を選びましょう

外来では、「解熱剤は坐薬の方が効きますよね?」とよく聞かれるんじゃ。
実は、解熱剤の坐薬と飲み薬に効果の差はないことが研究で示されているんじゃ。

解熱剤の飲み薬と坐薬の効果を比較した研究では、
・1時間後、3時間後の熱の高さ
・熱の下がり具合
・1℃熱が下がるまでの早さ
これらは両者で有意差がなかったんじゃ。

参考文献をもとにnotebookLMで作成

参考文献をもとにnotebookLMで作成

つまり、飲み薬と坐薬は効き目で選ぶ必要はなく、お子さんにとっての使いやすさで選んで問題ないんじゃ。

まとめ

・解熱剤の飲み薬と坐薬は、効果に違いはない
・お子さんの使いやすさで選んで問題ない

まとめ

Q1:熱で脳に障害が出ることはありますか?
A1:風邪の熱で脳に障害が出ることはほぼありません

Q2:熱が高ければ重症ですか?
A2:熱の高さと重症度は必ずしも一致しません

Q3:熱は何日続いたら注意が必要ですか?
A3:熱が4-5日以上続いたら注意が必要です

Q4:解熱剤を使うと風邪は早く治りますか?
Q4:解熱剤で風邪の治りは早くも遅くもなりません

Q5:解熱剤が効かないということは重症ですか?
A5:解熱剤の効き目と重症かどうかは関係ありません

Q6:解熱剤はどのタイミングで使うのがいいですか?
A6:熱で食事や水分、睡眠がとれないときに使うといいです

Q7:解熱剤は飲み薬と坐薬のどちらがいいですか?
A7:効果は変わらないので、使いやすい方を選びましょう

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