1年で10万人が救急搬送!?熱中症について
毎年のように訪れる猛暑の季節、保護者の方を悩ませるのが熱中症じゃ。
熱中症は軽症から重症まで幅広い症状を呈するが、ときに命にかかわる疾患であることは周知の通りじゃ。
熱中症に対しては知名度のわりに誤解も多く、「水分、塩分を摂っていればならない」といった認識の方も少なくないんじゃ。
また、間違った対策をしてしまっていることもあるんじゃ。「スポーツドリンク、経口補水液を常飲する」などが誤った対策の一例じゃ。
今回は、熱中症について詳しく解説していくんじゃ。
1. なぜ今、子どもの熱中症に注意が必要なのか
1-1. 2025年は記録的な猛暑の夏だった
小児科の救急現場に立つ医師として、近年の夏の暑さには強い危機感を抱いているんじゃ。
国内の平均気温は上昇の一途をたどり、2025年には熱中症による救急搬送者数が2008年の統計開始以来始めて10万人を超えたんじゃ。
他にも、以下のように酷暑を象徴する記録が残されたのが2025年という年じゃ。
2025年の暑さに関する記録
・国内最高気温の更新(群馬県伊勢崎市)
・熱中症の救急搬送者が初の10万人越え(10万510人)
・最高気温40℃以上の地点が30地点と歴代最多
・猛暑日が記録された地点が通算9385地点と過去最多
・夏の平均気温(6月~8月)が1898年の統計開始以降で歴代最高
2026年も、2025年と同様の猛暑が訪れる可能性もあるんじゃ。
いまいちど、熱中症に対する理解と準備が必要じゃ。
1-2. 熱中症の発生状況
2025年の熱中症の救急搬送者は10万人を超え、軽症の患者を含めるとさらに多くの熱中症患者がいることが推測されるんじゃ。
救急搬送された方のうち、小児(18歳未満)は8981人で約9%を占めるんじゃ。
発生場所は住居(38.1%)が最も多く、次いで道路(19.7%)、公衆の屋外(駅など:12.1%)となっているんじゃ。
厚労省の人口動態統計によれば、熱中症による死者数は、2023年には1651人、2024年には2160人と年々増加しているんじゃ。
2. 熱中症はなぜ起こるのか ~水分補給だけでは防げないわけ~
2-1. 熱中症は“体に熱がたまること”で起こる
熱中症は、体に熱が溜まる(熱産生)ことと体から熱を逃がす(熱放散)のバランスが崩れて、体に熱が溜まることで起こるんじゃ。
外気温が高かったり湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり体に熱がこもりやすいんじゃ。
また、運動をしていると体に熱が産生されやすくなるんじゃ。
そのため、高温多湿環境や運動中は熱中症になりやすくなるんじゃ。

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2-2. 水分、塩分だけでは防げないわけ
熱中症を予防するには、とにかく『暑い環境を避ける』ことが第一じゃ。
体に熱がたまることを避け、熱を逃がすようにすることが最も根本的な予防じゃ。
熱中症対策として水分、塩分の摂取はよく強調されているんじゃ。
汗をかくと水分、塩分が失われ、そのまま補給しないでいると汗がかけなくなってしまうんじゃ。汗がかけないと体温が下がらず、熱中症のリスクとなるんじゃ。
水分、塩分補給は、暑い環境にいる際の熱中症予防としては重要じゃが、そもそも暑い環境にいなければ熱中症にはなりようがないんじゃ。
「水分、塩分を摂っていれば暑い環境にいても熱中症にならない」というのは誤りじゃ。

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3. 「子どもは大人と違う」 ~子どもが熱中症になりやすい6つの理由~
3-1. 熱中症になりやすい人、状況
熱中症になりやすい人、状況、行動を以下にまとめたんじゃ。
環境
・気温、湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い
・閉め切った室内
・エアコンがない
・急に熱くなった
・熱波
人、体
・高齢者、乳幼児、肥満
・からだに障害がある
・生活習慣病、心臓病、肺疾患の人
・低栄養、脱水状態の人
・体調不良の人
行動
・激しい運動
・慣れない運動
・長時間の屋外作業
・水分が補給しにくい環境
また、脱水症状は熱中症のリスクを高めるんじゃ。
小児では、1-2%の体重減少でも体温調節に影響を与え、運動のパフォーマンスにも影響するんじゃ。

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3-2. 子どもが熱中症になりやすい理由
熱中症のハイリスクとされるのが、高齢者と小児じゃ。
小児がなぜ熱中症のハイリスクとされているのかについては、以下のような理由があるんじゃ。
体表面積が大きい:
体重に対して体表面積が広いため、外気からの熱を吸収しやすい。発汗機能が未発達:
汗腺の機能が未発達で、体温調節機能が低い。尿濃縮機能が未熟:
尿を濃縮する能力が未熟で、水分を喪失しやすい。地面からの照り返し(輻射熱)の影響:
地面に近い分、照り返しの影響を強く受ける。自発的な飲水、更衣が難しい
低年齢では、体調や環境に応じた対応行動がとりにくい。
3. 熱中症の症状と重症度
3-1. 熱中症の重症度のポイントは“意識状態”
熱中症には3段階の重症度があり、Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)があるんじゃ。
ポイントは、「意識がおかしい」という症状があったら中等症以上、ということじゃ。
意識の状態に注目することで重症度を判定しやすくなるんじゃ。
軽症(現場で初期対応)…意識ははっきりしている。
中等症(すぐに受診)…意識がなんとなくおかしい。
重症(救急要請)…意識がない、呼びかけに反応しない。
3-2. 熱中症を疑う症状
以下のような症状は、熱中症の初期症状の可能性があり、要注意じゃ。
熱中症を疑う症状、サイン
・体温が高い
・皮膚が赤い、暑い、乾燥している
・頭痛
・めまい、吐き気
・意識がおかしい(反応しない、受け答えが正常ではない)
4. 熱中症になった際の応急処置
前述のような熱中症を疑う症状が出てきた際には、すみやかに以下の応急処置を行うべきじゃ。
涼しい場所への避難
まず第一に、高温多湿の環境から避難する必要があるんじゃ。一番いいのは、クーラーの効いた室内じゃ。難しければ、風通しのよい日陰を探して移動するんじゃ。衣服の調節:
衣服を緩め、皮膚からの放熱を助けるんじゃ。
ボタンをはずす、ベルトをゆるめるなどの調節をするんじゃ。効率的な冷却:
意識障害があるなど、緊急性がある場合は全身を冷水や氷水に浸ける方法が最も効果的じゃ。ただし、この方法は必ず医療従事者の監視のもと、体温などをモニターできる環境で行うべきじゃ。
そのような設備がない場合は、ホースなどで全身に水道水をかける方法が推奨されるんじゃ。
緊急性がない場合は、太い血管が通る首の横、脇の下、足の付け根に保冷剤や濡れタオルを当てて冷却するんじゃ。霧吹きなどで体に水をかけ、扇風機で風を送る「蒸散冷却」も有用じゃ。水分、塩分補給:
意識がはっきりしている場合に限り、経口補水液(OS-1など)を飲ませて水分、塩分を補給するんじゃ。冷たい飲み物であれば、水分補給と同時に体温も下げることができるんじゃ。意識障害がある際に無理に水分を摂らせると、誤嚥(飲み物が気管に入ること)のおそれがあるんじゃ。
熱中症の症状があるときの飲み物は経口補水液が第一選択で、最も水分吸収効率がいいんじゃ。スポーツドリンクは糖分が多く塩分が少ないため、経口補水液がないときの次善策じゃ。
5. 熱中症を防ぐには
① WBGT(暑さ指数)を確認する
熱中症の発症には、温度だけでなく湿度も大きくかかわってくるんじゃ。
そのため、気温だけでなく「湿度」と「輻射熱」を取り入れたWBGT(暑さ指数)を指標にする必要があるんじゃ。
WBGTは以下のサイトから確認できるんじゃ。
WBGTが31以上のときは、運動は原則中止とすべきじゃ。
② 水分補給
熱中症と脱水症は混同されやすいが、熱中症は体温調節の異常であり、脱水症は体の水分不足じゃ。熱中症により脱水症になることもあれば、脱水症がきっかけで熱中症になることもあるんじゃ。

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・日常の水分、塩分補給
日常生活における水分補給は、水やお茶が推奨されるんじゃ。
日本人は食事から塩分を過剰に摂っている傾向があるんじゃ。
ある研究では、小学生で1日7.1g、中学生で1日7.6gの塩分を摂っていたというデータがあるんじゃ。
一方で、厚労省の食事摂取基準では塩分の推奨量をみると、小学生の時点でも塩分量は十分、あるいは過剰である可能性があるんじゃ。
そのため、熱中症の「予防」においては水分だけで十分で、塩分を追加でとる必要はないんじゃ。
ただし、1時間以上の運動をする場合や、1時間以上の高温環境での活動をする場合はあわせて塩分もとることを考慮する必要があるんじゃ。
日常的にスポーツドリンクなどの糖分、塩分を含んだ飲料を摂取することは、肥満、むし歯、ビタミン欠乏などの健康リスクも孕んでいることに注意が必要じゃ。
水分摂取のフローチャートを以下にまとめたんじゃ。

③ 服装の工夫
服装の工夫によって、日差しを避けたり体感温度を下げることができるんじゃ。
・帽子をかぶる
・太陽光を反射する明るい色の服を着る(白など)
・ゆとりのある、通気性の良い服を着る
・汗で濡れた服は適宜着替える
④ 「暑熱順化」で体を慣らす
熱中症は、「急に熱くなった日」「慣れない運動をした日」などに多いんじゃ。
暑さに慣れることで熱中症になりにくくなることが実際に示されており、「暑熱順化」というんじゃ。
具体的な手順としては、①「やや暑い」と感じるくらいの環境で、②毎日30分程度の運動(ウォーキングなど)を、③2週間程度続ける、とされているんじゃ。

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⑤車内熱中症に注意
お子さんが車内に取り残され、熱中症となってしまうケースが多発しているんじゃ。
エアコンの切れた車内は、ものの10分で危険な高温に達するんじゃ。
意図的にお子さんを車内に残すのは論外としても、「ついうっかり」お子さんを取り残してしまうことは誰にでも起こりうるんじゃ。
「気をつける」だけでは対策としては不十分で、荷物を後部座席に置くなどの具体的な対策が必要じゃ。
7. まとめ
以上、熱中症について解説してきたんじゃ。
熱中症は、年間10万人以上の人が救急搬送される疾患じゃ。
2026年も5月の時点で真夏日が記録されていたりと、多くの熱中症が発生することが懸念されるんじゃ。
熱中症は予防が第一で、そのために大切なのは何よりも「暑い環境を避けること」じゃ。
水分、塩分摂取はあくまで補助的な予防策じゃ。水分、塩分を摂っていれば暑い環境にいても熱中症にならないわけではないことを知ってほしいんじゃ。
また、熱中症予防として多くの飲料や食品が販売されているんじゃ。
しかし、日常生活における水分補給は水やお茶で良い、というのも大切なポイントじゃ。
日常的に糖分や塩分を含んだ飲料を飲むことは、かえって健康を害するおそれもあることに注意してほしいんじゃ。
この記事が、みなさまのお役に立てば幸いじゃ。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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