日本の乳幼児の10人に1人が経験する、「熱性けいれん」とは

熱性けいれんは、5歳ごろまでのお子さんにみられる発熱時のけいれんです。多くは短時間でおさまる予後良好な疾患ですが、対応などは知っておきたいです。今回は、決して珍しくはない熱性けいれんについて解説します。
小児科医のおじい 2026.05.27
誰でも

熱性けいれんという疾患について、子育てをしていると一度は耳にしたことがあるのではないじゃろうか。
しかしながら、熱性けいれんがなぜ起こるのか、どのような疾患なのかということについては詳しく知らないという方も少なくないんじゃ。

「わが子が突然、白目をむいて手足をガクガク震わせ始めた……」

そんな光景を目の当たりにしたら、普段どんなに冷静な親御さんでも、頭が真っ白になってしまうものじゃ。
「このままけいれんが続いたら命に関わるのでは?」「脳に障害が残るのでは?」と強い不安に駆られるのは、保護者として当然の反応じゃ。

しかし、小児科医としてまず一番にお伝えしたいのは、熱性けいれんの多くは経過が良好で、脳に障害を残すことはほとんどないという事実じゃ。

この記事の目的は、もしもの時に皆さんが落ち着いて行動できるよう、専門的なエビデンスに基づいた正しい知識を分かりやすくお伝えすることじゃ。正確な知識を得ることで、いざという時の不安を少しでも取り除いていくことができれば幸いじゃ。

そういうわけで、今回は熱性けいれんについて詳しく解説していくんじゃ。

1. 熱性けいれんとは

1-1. 熱性けいれんの定義

熱性けいれんの定義は、日本小児神経学会の熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン 2023(以下ガイドライン)に記載されているんじゃ。

主に生後 6~60 か月までの乳幼児期に起こる,通常は 38℃以上の発熱に伴う発作性疾患(けいれん性,非けいれん性を含む)で,髄膜炎などの中枢神経感染症、代謝異常、その他の明らかな発作の原因がみられないもので、てんかんの既往のあるものは除外される。

わかりやすくいうと以下のようになるんじゃ。

熱性けいれんとは
主に生後6か月から5歳くらいまでの乳幼児が
②38℃以上の発熱に伴って起こる
脳の興奮によるさまざまな症状のこと

1-2. 熱性けいれんと熱性発作の用語の違い 
~けいれんしない熱性けいれん?~

2023年のガイドラインでは、これまでの『熱性けいれん』から『熱性けいれん(熱性発作)』と記載されるようになったんじゃ。

これは、熱性けいれんには手足ががくがくする典型的なけいれんの症状以外にも、「ボーっとする」「白目をむく」「体の力が抜ける」といった症状も含まれるからじゃ。
このような非けいれん性の症状も含めて、熱性発作という疾患名になったんじゃ。
ここでいう『発作』とは「脳の興奮によるけいれん性、非けいれん性を含むさまざまな症状」じゃ。

本記事では、以下のように用語を使い分けるんじゃ。
熱性けいれん…熱性発作として同義とする。つまり、非けいれん性の発作も含む。
発作…脳の興奮によるけいれん性、非けいれん性を含むさまざまな症状
けいれん…俗にひきつけともいう。手足のこわばりやがくがくとした震えなど、狭い意味でのけいれん。

CHAT-GPTで作成

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1-3. 熱性けいれんと鑑別が必要な病気

熱性けいれんは、あくまで感染症などの原因が除外されてはじめて診断されるんじゃ。

・短時間でおさまっている
・その後の意識障害や、体の硬直・麻痺などの神経症状がない
・呼吸状態など全身の状態が良好か

これらの情報や、必要に応じた検査などの結果から他の病気の可能性が除外できると判断された場合に、はじめて熱性けいれんと言えるんじゃ。

けいれんしている最中や、けいれんが止まった直後に「これは熱性けいれんだ」と断定することはできないんじゃ。

2. 熱性けいれんはどんな病気?

2-1. 日本人の10人に1人が経験する

熱性けいれんは、欧米に比べてアジア圏で多い傾向にあるんじゃ。

日本人のお子さんの最大で約10人に1人が熱性けいれんを経験すると言われており、欧米(2〜5%)に比べても非常に身近な疾患なんじゃ。

2-2. 熱性けいれんが起こるわけ

子どもの脳はまだ発達の途中で未熟じゃ。
そのため、急激な体温の上昇が刺激となり、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮してしまうことで起こるんじゃ。
また、熱性けいれんを起こしやすい遺伝子というのもいくつか特定されているんじゃ。

2-3. 熱性けいれんを起こしやすい感染症

いくつかのウイルス感染症では、熱性けいれんを起こしやすいことがわかっているんじゃ。

熱性けいれんを起こしやすいウイルス感染症
・インフルエンザ
・突発性発疹(ヒトヘルペスウイルス)
・アデノウイルス
・COVID-19

2-4. 熱性けいれんの分類 単純型と複雑型とは

熱性けいれんには、単純型と複雑型の2種類があるんじゃ。

複雑型熱性けいれんとは…
1) 焦点発作(部分発作ともいう、全身のけいれんではない体の一部だけの発作)
2) 15分以上持続する発作
3) 1回の発熱のなかで、(通常は)24時間以内に複数回繰り返す発作

以上の3つのいずれかに該当するものが複雑型熱性けいれんじゃ。
それ以外はすべて単純型熱性けいれんというんじゃ。

単純型と複雑型の違いは、その後のてんかん発症リスクの差じゃ。
ガイドラインでは、複雑型熱性けいれんを起こしたお子さんは、単純型熱性けいれんを起こしたお子さんに比べてその後のてんかん発症リスクが高いとされているんじゃ。

ただし、複雑型熱性けいれんを起こしたお子さんでも多くはその後てんかんを発症することはないんじゃ。

CHAT-GPTで作成

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2-5. 熱性けいれんは経過時間が重要

熱性けいれんの多くは5分以内にとまるんじゃ。
5分を超えて続くけいれんは、自然に止まらず抗けいれん薬が必要になることがあるんじゃ。
さらに、30分を超えて続くけいれんは、脳になんらかのダメージが残ることがあるとされているんじゃ。

裏を返すと、「短時間でおさまったけいれんで脳に影響する心配はない」と言えるんじゃ。

ガイドラインでは、「けいれんの持続時間が5分を超えたら抗けいれん薬による薬物治療の開始を検討すべき」としているんじゃ。
けいれんの持続時間は、①薬物治療の必要があるか、②けいれんが止まったあとの予後がどうか、の2点に影響するんじゃ。

2-6. 熱性けいれんの再発率

熱性けいれんは再発することがあるんじゃ。
再発しやすい要因として、以下の4項目があるんじゃ。

熱性けいれんの再発予測因子
1) 熱性けいれんの家族歴(両親、兄弟姉妹)
2) 生後12ヶ月未満での発症
3) 発熱してからけいれんまでが1時間以内
4) けいれん時の体温が39℃以下

熱性けいれん全体の再発率は約30%、上記の再発予測因子を持たない場合の再発率は約15%とされているんじゃ。
半数以上のお子さんでは、熱性けいれんを繰り返すことはないというのがポイントじゃ。

2-7. 熱性けいれんとてんかん

「熱性けいれんを繰り返すとてんかんになりますか?」というのは良く聞かれる質問じゃ。
てんかんは「誘因なく発作を起こす疾患」であり、熱性けいれんは「熱により発作を起こす疾患」のため、この2つは同一直線上にある疾患ではないんじゃ。
つまり、熱性けいれんがてんかんに「移行する」「進展する」わけではないんじゃ。

ただ、「てんかんの素因を持つお子さんが熱を伴う発作を起こしたため、その時点では熱性けいれんのように見える」「その後に誘因のない発作を起こし、てんかんと診断される」ということはありうるんじゃ。

熱性けいれんを起こしたお子さんが、その後にてんかんを発症する割合は2.0~7.5%とされているんじゃ。一般の人口におけるてんかんの発症率は0.5~1.0%のため、それに比べると発症率は高いんじゃ。

ただし、熱性けいれんを起こしたお子さんでも90%以上はてんかんを発症しないということが大切な事実じゃ。

熱性けいれん後のてんかん発症に関連する要因
1) 発達の遅れ、神経学的異常の既往
2) てんかんの家族歴(両親、兄弟姉妹)
3) 複雑型熱性けいれん
4) 発熱から発作までの時間が短い(1時間以内)
5) 3歳以降での初回の熱性けいれん

上記の1)~3)について
いずれも認めない⇒てんかん発症率 1%
1因子のみ⇒てんかん発症率 2%
2-3因子あり⇒てんかん発症率 10%

4)、5)について
発症リスクはそれぞれ2倍、3倍以上

また、複数の研究で3回、4回以上熱性けいれんを起こした場合にてんかんの発症リスクが高いという報告があるんじゃ。
これは、熱性けいれんを繰り返すことでてんかんを発症するわけではなくてんかんの素因のあるお子さんが初期症状という形で熱性けいれんを起こしていると考えられるんじゃ。
裏を返すと、熱性けいれんを予防することでてんかんの発症を予防できるわけでもないんじゃ。

CHAT-GPTで作成

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2-8. 5歳以上の子の熱性けいれん

熱性けいれんは、一般的に満60ヵ月(5歳0ヶ月)までと定義されているんじゃ。
それ以上の年齢で熱性けいれんが起きた場合についての考え方についても解説していくんじゃ。

5歳以上で熱性けいれんが起きた場合も、年齢以外は熱性けいれんと考えて差し支えなければ特に心配はいらないんじゃ。
特に、インフルエンザなどけいれんを起こしやすい感染症にかかると、5歳以上でもけいれんを起こすことはあるんじゃ。

ただし、「けいれんを繰り返す」「熱がないときのけいれんがある」といった場合は、精査が必要となることがあるんじゃ。

2-9. 熱性けいれんの予後 脳への影響は?

熱性けいれんで受診された親御さんが最も心配されるのが、「脳に影響することはないか」「知能や発達に影響することはないか」ということじゃ。

熱性けいれんは、基本的に予後のいい疾患じゃ。
特に、単純型熱性けいれんによって、学力や知的能力の低下、精神発達遅滞、運動機能の低下といった後遺症が残ることはないんじゃ。

2-10. 熱性けいれんで亡くなってしまうことはある?

目の前でお子さんがけいれんした際に、「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖を感じた、という親御さんは多いんじゃ。

実際には、熱性けいれん自体で死亡するということは極めて稀じゃ。
注意すべきは、以下のケースじゃ。

・熱性けいれんではなく、細菌性髄膜炎、インフルエンザ脳症などの疾患だった
・けいれんの時間が30分を超える(けいれん重積状態)

3. 熱性けいれん時の対応

続いては、熱性けいれんが起きた時の対応について解説していくんじゃ。
上述のとおり、熱性けいれんは決して珍しい病気ではないんじゃ。子育て中であったり、お子さんに関わることのある方はぜひ知っておいてほしいんじゃ。

目の前でお子さんがけいれんしたら

①安全の確保(すぐにやる)

まずは安全の確保が重要じゃ。けいれんしている時は意識がないため、転倒・転落などの事故のおそれもあるんじゃ。

けいれんが起きたら、まず安全な場所に寝かせるんじゃ。
座らせた姿勢は倒れたりするリスクや、脳に血が行きづらくなることから非推奨じゃ。

次に、顔を横に向けるんじゃ。
けいれん時には、お腹に力が入って嘔吐してしまうことがあるんじゃ。
仰向けのままだと、吐物で窒息することがあるため顔は横向きがいいんじゃ。

②時間を計る(できればやる)

熱性けいれんは持続時間が大切じゃ。5分以上続く場合はけいれんが自然に止まりにくいんじゃ。「けいれんが何分続いたか」は受診の際にも重要なため、可能であれば

③動画を撮る(できればやる)

特にはじめてのけいれんの場合は、本当にけいれんなのかが判断が難しいこともあるんじゃ。
そのため、けいれんの様子を動画に撮っていただくと、受診時に大変参考になるんじゃ。

けいれん時にやるべきでないこと

①口の中にものや指をいれる

かつては、「舌を噛まないように割りばしなどを口に入れる」という方法が指導されていたこともあったんじゃ。
現在では、口にものをいれるのはかえって危険という認識にかわっているんじゃ。

けいれんで舌を噛む、ということ自体がほとんど起こらないこと、口に入れたものを飲み込んでしまうリスクがある、というのが理由じゃ。

②ゆさぶる、たたく

けいれんの原因として、まれに脳出血、脳梗塞などが原因となることがあるんじゃ。
意識が戻るようにと、ついゆさぶったり叩いたりしてしまうと症状の悪化につながるおそれもあるため、注意が必要じゃ。

③水などを飲ませる

けいれん中や、意識がはっきりしない状態で水などを飲ませると、誤嚥や窒息のおそれがあるんじゃ。
意識がはっきりするまでは、水分や食事は控えた方がええんじゃ。

こどもがけいれんした!救急車は呼ぶ?呼ばない?

「熱性けいれんで救急車を呼ぶか」はSNSなどでもたびたび話題に上がるんじゃ。
わし個人の意見としては、「けいれんで救急車は呼んでいい」じゃ。

教科書的には、「けいれんが5分以上続いたら救急車を呼ぶ」としている記載が多く、そのような指導も多くなされているんじゃ。
それが間違いというわけでは決してないんじゃ。

ただし、「けいれんが5分続いたら救急車」というのは以下のような問題点もあるとわしは考えるんじゃ。

「けいれんが5分続いたら救急車」の問題点
1. けいれんしているお子さんを前に5分待つことは親御さんにとって心理的負担が大きい
2. けいれんが止まっているかの判断は小児科医でも悩むことがある
3. 自家用車を運転しての受診は、「動揺しながら」「お子さんを気にしながら」となり危険を伴う
4. 自家用車、タクシーのいずれも車内で再度けいれんした際に対応が難しい

上記の理由から、わしは普段の診療では
・お子さんがけいれんしたらすぐ救急車を呼んでもいい
・特に、初めてのけいれんでは躊躇せず呼んでいい
とお伝えしているんじゃ。

まとめ

熱性けいれんは、日本人の約10人に1人に起こる疾患じゃ。
自分のお子さんがけいれんすることもある、という認識で対応を知っておく必要があるんじゃ。

お子さんがけいれんしたら、①まず横に寝かせて顔も横に向ける、②余裕があれば時間の計測と動画の撮影、までできるとベストじゃ。
初めてのけいれんでは、救急車を呼ぶことに躊躇しなくていいんじゃ。2回目以降でも、少しでも不安だと思った時点で救急車を呼んで問題ないとわしは考えるんじゃ。

熱性けいれんについて親御さんが心配されるのは、「脳に影響することはないか」「てんかんを発症することはないか」という点じゃ。

短時間でとまった熱性けいれんは、その後の脳の発達に影響することはないんじゃ。
また、熱性けいれんがてんかんに移行することはないんじゃ。熱性けいれんを発症したお子さんは、熱性けいれんを経験していないお子さんと比較しててんかん発症リスクが高いのは事実じゃ。ただし、それでも「熱性けいれんを起こした子の90%以上はてんかんを発症しない」という事実が大切じゃ。

この記事が、子育て中の親御さんや子どもにかかわる皆様のお役に立てば幸いじゃ。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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